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ZATTOMee! ~研究者の投資blog~

米国企業・業界を”ざっと見”するブログ。初めての方でも興味を持ってもらえるよう、5年後、10年後に少しでもいい生活ができるように勉強したことや実践したことを発信中!

【TSM】台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング ~半導体ファウンドリの君主~【ZATTOMee!】

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どうも。(。・ω・。)

ひーくんです。

 

今日は15日に決算を控えた「台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング($TSM、台湾積体電路製造)」についてまとめました。

 

 

半導体業界はTwitterなどでも盛り上がりを見せている業界ですし、中でもファウンドリ大手のTSMの動向は業界の命運を握っていると言っても過言ではないでしょう。

 

 

それでは早速見ていきましょう!

 

 

 

 

 

台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングってどんな会社?

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企業概要

◆世界最大のファウンドリー(作り手)として半導体業界に君臨してる。シェアはなんと56%!

◆世界最大の半導体デザインエコシステムである「Open Innovation Platform®」を確立。さらに世界各国の新興企業のプロトタイプ製品の85%がTSMCによる製造品

半導体大手のNVDAや、iPhoneのAAPLなどの半導体製造も受託している。

◆同社の集積回路(IC)はコンピューター、通信機器、消費者向け電子製品、自動車、工業機器など各産業で使用される。

◆2017年までに研究開発に$3 billion(収益の約8%)を投資。

TSMCの研究開発費用は、IntelSamsungを合わせた金額よりも多い

(そこまでしてトップを守っていると考えられます)

◆創業者:モリス・チャン(Morris Chang)

・中国生まれのエンジニア、起業家、TSMCの設立者。

マサチューセッツ工科大学(MIT)に編入し、機械工学修士号を取得。

テキサスインスツルメンツ社のエンジニアリング マネージャとして就職し、半導体事業を担当するシニアバイスプレジデントに就任。

・General Instrument Corporationの社長に就任したが、その1年後に台湾政府から産業技術研究所の社長に抜擢された。

・台湾政府から半導体産業の発展を託されたチャンは、コスト削減のために外注化が進む電子機器メーカーのニーズに応えるために、チップなどの電子機器の設計を請け負うファウンドリを設立。台湾政府の支援を得てTSMCを設立し、初代CEOに就任した。

 

 

 

 

マーケット

〈2020年〉 前年比+5.1%(予測)

(+)5Gスマートフォンの増加、ライフスタイルの変化による"巣籠り需要"

(+)在宅勤務やオンライン授業(パソコンやデータセンタ関連機器の需要)

(-)COVID-19による自動車業界を始めとした世界経済の悪化

 ☛ 世界経済に比べて半導体市場は堅調に推移していると考えられる。

 

※2019年は前年比-12.0%

2018年はDRAM・NANDといった汎用メモリバブルによって、史上最高値(約4700億ドル)を更新した反動。(2018年が高すぎた、成長を前借りした感じですかね。)

さらに米中貿易摩擦などによる世界経済成長の失速も要因か

 

 

 

 

〈2021年〉 前年比+8.4%(予測)

・COVID-19を巡る状況の改善を前提に世界経済も回復する

半導体市場も成長が加速する予測となったと考えられる。

・2020年に打撃を受けた自動車業界の急回復による関連市場は高成長

・5G化の更なる進展が幅広い製品の需要拡大に貢献する

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世界地域別市場予測 (出典:WSTS)
  • WSTSは、2021年に過去最高の4,700億ドルに到達すると予想している。
  • 来年は全世界で市場が拡大する見込み。
  • アメリカの成長が強い。全世界の成長を牽引している。
  • アジア圏の伸びが堅調。特に中国、台湾(TSMなど)か?

 

 

作れる企業は限られている、というのがネック。

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半導体不足によって、供給網にも不安が生じています

 

上記のとおり世界的に需要は伸びてきているのですが、その需要の伸びが急すぎて各メーカーの生産能力が追いついていないのが現状です。そのため供給が追いついておらず、最近では自動車業界でも不足している、とのニュースもあるほどです。

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www.bloomberg.co.jp

 

 

 

半導体の需要サイクルも気になるところ。(大幅な売上成長があった翌年は、前期比マイナス成長となっている)

GAFAMなどの大手企業が2018年に設備投資を拡充したせいで、2019年の需要が反動で減少した!

 

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半導体サイクル(JPアセットマネジメント; Guide to the Markets)

 

 

詳細についてはこちらの記事をどうぞ。^^

▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

hideson-gifufufu.hatenablog.com

 

 

ビジネスモデル

◆顧客の製品を製造することに特化したピュアプレイファウンドリー

工場を持たずに設計者のためにチップを作る、つまり「ファブ」と呼ばれる高額な費用がかかる設備を作っている。また半導体製品の設計、製造、販売を自社の名前で行わないことで、顧客との競合を避けている。

半導体生産の流れを考えたときに、比較的「川下」に当たる企業かと思います。なので、「川上」(製造装置など)が止まってしまうと、作りたくても作れない、ということにもなりかねません。

 

 

◆2020年時点で300mm(12インチ)相当のウェーハを年間約1,300万枚生産し、2ミクロンから現在の7ナノメートルファウンドリの最先端プロセスまで、幅広い技術を提供する能力を持っている。

 

 

7nmの生産能力を提供した最初のファウンドリであり、顧客の製品を大量に市場に提供するため、「極端紫外線(EUV)リソグラフィ技術」を商業化した最初のファウンドリである。

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TSM:Revenue by Technology

→こちらの図を見ても、TSMの主力商品は7nmと昨年より提供開始した5nmであることがわかる。(7nmの生産拡大と5nmの大量生産が進行中している)

 

 

 

◆純収益に占める割合は次のとおり。(2019年)

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TSM:収益に占める割合

スマートフォンが49%と最も多く(AppleiPhone?)、ついでハイパフォーマンスコンピューティング(HPC):30%、IoTが8%、オートモーティブ(自動車事業):4%、デジタル家電:5%となっている。

 

 

 

 

業績

4月9日に「Revenue Reports」出ました!

3月度のRevenueは NT$ 129,127 million(△13.7%YoY, 21.2%MoM)となっています。引き続き半導体需要も強く、業績の底上げにつながったようです。

→ここまで業績がいいことが分かると、ある程度株価に織り込まれてしまっているようですが…。どうなんでしょうね?

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TSM:March 2021 Revenue Report

 

 

 

それでは決算を迎える前に、2020Q4の決算でも振り返っておきましょう。

 

2020Q4

☑ Revenue:$12.68 billion(△22.0%, YoY) (vs +9.4%)

☑ Gross Margin :54.0%(△0.6, YoY)

☑ Net Income :NT$ 142.77 billion(△23.0%, YoY)

☑ EPS:NT$ 5.51(△23.0%, YoY)← ◎ (vs +22.4%)

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Presentation materials(TSMC HP)

→RevenueがYoY、QoQのいずれでも成長している。ホンマに堅調に大きくなっててビビる。(スマホ、HCP、IoTが好調だった様子。)

1Q21 Guidance

☑ Revenue:US$ 12.7~13.0 billion
☑ Gross profit margin:50.5~52.5%
☑ Operating profit margin:39.5~41.5%

 →売上は伸びを予想しているものの、粗利・営業利率はやや下がる見込み。売上は堅いと見ているようなので、研究開発などに投資する予定なのか?

 

 

 

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TSM:2020 Financial Highlights

☑ フリーキャッシュフロー(FCF)がYoYで2倍に。

→潤沢すぎる現金。これも今期の研究開発へ…?

☑ 優良な財務実績を継続的し続けているすんごい会社。

-上場以来、高い増収率と増益率を維持。(年平均成長率17.4%、16.1%)

-株式資本に対する利益を示すROEは20%以上

ー2004年より配当開始、一株当たりの配当金の減額は今まで無い。

 

 

株価

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2020年のTMS株価推移(Bloomberg

 

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TSM:直近1年の株価推移(Bloomberg

→年始までは堅調でしたが、2021年2月中旬以降の調整で株価を下げており、年初来高値までは回復していません。

どちらかというと手堅い銘柄なので、下落も15%程度にとどまっておますが、上値が重く、4月に入ってやっと上向いてきた印象ですね。

 

 

 

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TSMC(白)・サムスン(青)・Intel(紫)の株価推移(Bloomberg

半導体業界の中でも2020年の伸びが著しいですね。

 

 

 

トピックス 

■バイデン大統領は半導体の国内生産の拡大に意欲。

会議には米インテルや台湾積体電路製造(TSMC)など半導体メーカーのほか、ゼネラル・モーターズGM)などが出席。

www.nikkei.com

 

 

■台湾での水不足。半導体に欠かせない水が、干ばつによって不足しているようです。

www.bloomberg.co.jp

 

 

 

■ 2021年の設備投資計画を最大280億米ドル(約2兆9100億円)に設定。

www.bloomberg.co.jp

→製造を一手に担うファウンドリーとして、半導体の供給不足解消という課題の解消が急務となっています。それを分かっているからこそ、このような大きな設備投資に動いたのかと。供給が改善されれば、半導体市場のさらなる拡大にもつながりますし、TSMCには今後も期待していきます。^^

→業績への反映は2021Q2あたりからかな?(今期Q1のガイダンスに注目ですね。)

 

 

(2021.2.18)

AppleTSMCと提携し、VR/AR ディスプレイを台湾で製造する。

www.motleyfool.co.jp

→TMSがVR銘柄の属性も持つようになりました。笑

 

 

■チップメーカーのAMDはCPUやGPU、カスタムSoCのほとんどをTSMCで製造しています。そんなAMDTSMCの2021年度の収益シェア第2位に躍り出る可能性が報じられています。

gigazine.net

 

 

 

NVIDIAが開催中のGTCにて同社初のデータセンター向けCPU(Armベース)を発表。

(複雑なAIやHPCに対して従来のサーバーの10倍の性能をもたらす)

https://www.globenewswire.com/en/news-release/2021/04/12/2208486/0/en/NVIDIA-Announces-CPU-for-Giant-AI-and-High-Performance-Computing-Workloads.html

NVIDIAが買収する「ARM」のCPU技術を用いての展開ですね。

影響を受けるのはAMD、ICTLあたりでしょう。これらのk部下が大きく下がっていますね…。

 

 

 

まとめ

それでは今回の記事をまとめます!

  

POINT
  • TSMの決算は15日(木)!要チェック!特にガイダンス!
  • 半導体は今後も伸びが期待できる市場!特にファウンドリのポジションは安定している印象。
  • TSMは業界トップのシェアと研究技術を持つ。それを支えるのは安定した財務と研究開発費用!
  • 半導体需要の逼迫が吉と出るか、凶と出るか。(今年に入って苦難が多い気も…。)

 

以上です。

 

 

I have a position. :)

好決算を願って。

 

 

それではまた。