【ADPT】Adaptive Biotechnologies ~免疫評価の金字塔~【ZATTOMee!】
どうも。(。・ω・。)
ひーくんです。
今日は、「Adaptive Biotechnologies($ADPT)」についてまとめました。
昨日13日の相場中に、FDAが J&J のワクチンについて、一時停止するように勧告しました。
→ニュースを受けてJ&Jは▼1.3%の下落。これに対して、他のワクチンメーカーの株価は上昇しました。(MRNA:△7.60%、BNTX:△6.86%)
この中で、同じ日に△8%以上の伸びを見せていたのが、今回紹介する「Adaptive Biotechnologies($ADPT)」です。
一体どんな事業をしているんでしょうね?
それでは早速行きましょう!
Adaptive Biotechnologies($ADPT)ってどんな会社?
会社概要
◆適応型免疫システムに内在する生物学的特性を活用し、疾病の診断と治療に変革をもたらすことを目的とした商業段階のバイオテクノロジー企業。
◆独自の免疫医学プラットフォームを有しており、適応免疫系の膨大な遺伝情報を、スケール、精度、スピードをもって明らかにし、翻訳することで、生命科学研究、臨床診断、創薬の分野で製品開発につなげている。
◆がん、自己免疫疾患、感染症などの疾患の診断、モニタリング、治療を可能にする3つの商用製品と強固な臨床パイプラインを有している。
◆免疫システムをソースコードとした免疫医療の実現を目指す。
※T cell(T細胞)とは?
あらゆるウイルスを検出する適応免疫系の第一応答者。T細胞は迅速に増殖して血液中を循環し、症状が現れる前にウイルスを攻撃します。また、T細胞は、1~2週間後にB細胞を集めて抗体を作らせ、将来の感染に対する免疫力を高める可能性があります。
→T細胞は、COVID-19に最初に感染してからウイルスが除去されるまでの免疫反応を一貫して追跡することができる情報の宝庫だと言われています。
T細胞は過去にウイルスなどに感染したことを「記憶」しており、病原体が再び現れた場合、それを除去することができる。SARS-CoV-2に対する抗体は時間の経過とともに減少するという研究結果があるが、T細胞を評価することで、免疫と防御の相関関係を把握し、患者がどのくらいの期間、再感染に対して抵抗力を維持できるかを把握することも期待される。
T細胞は血液中を循環しているため、SARS-CoV-2への曝露状況や潜在的な免疫力を評価する上で、容易に入手でき、かつ理想的なターゲットとなると考えているようです。
マーケット
◇TAM:$54 Billion 以上の規模!
ビジネスモデル
◆事業の柱は「プラットフォーム」「免疫データ」「免疫治療製品」の3つ。
「プラットフォーム」
過去のエビデンス × AIなどの機械学習により、迅速かつ正確な製品開発をサポートできるプラットフォーム。
「免疫データ」
TcellおよびBcellの受容体のゲノムデータを有しており、製薬会社や研究機関と提携するなどして治療法・診断方法の研究開発を推進している。
自社の創薬にも注力している。中でも「免疫療法」「抗体医薬」が得意のようで、SARS-CoV-2のいくつかの部分に対する強力な中和抗体を同定したとのこと。
(低濃度での使用が可能なため、より簡便で低コストな投与が可能。また突然変異を回避できる可能性も。)
→目指しているのは「best-in-class」。後発でも、現行の医薬品よりも良いものを提供すること。
「免疫治療製品」
◆clonoSEQ®:体外診断用医薬品(IVD)
多発性骨髄腫やB細胞性急性リンパ性白血病、および慢性リンパ性白血病患者の血液もしくは骨髄中の病変を検出する。
→40社以上のバイオ製薬会社が実施した190件以上の臨床試験で採用されており、MRD(※)の有用性を証明することで、Venetoclax, Blinatumomab, Daratumumabなどの薬剤がFDAに承認されている。(評価のスタンダードである)
※微小残存病変(MRD:minimal residual disease):
抗がん剤の投与や根治切除手術により、一定の効果が確認された後でも、患者さんの体内にまだ残っているだろうと想定されるがん病変(細胞)のこと。
※FDA cleared in MM, ALL (bone marrow) and CLL (bone marrow, blood)
◆T-Detect™:
複数の疾患を対象とした高感度かつ特異性に優れたナチュラルT細胞による診断検査。簡単な採血から、このマップを活用して個人の免疫状態を提供し、病気の早期診断、病気のモニタリング、および免疫に関する重要な洞察を可能に。
Microsoft社との提携によって構築した「TCR-Antigen Map」と呼ばれる免疫系の地図と、免疫スクエンシング、独自の計算モデル、機械学習を用いて、T細胞受容体配列を感染症、自己免疫疾患、がんの疾患関連抗原にマッピングする。
◆T-Detect™ COVID:
上記の共同研究から発売された最初の臨床検査であり、最近または過去のSARS-CoV-2感染を検出するように設計された、市販されている最初のT細胞検査。
→「T-Detect.com」で入手可能であり、一般消費者(BtoC)、医療従事者、公衆衛生機関などをターゲットとしている。
※本検査は、2021年3月5日にFDAの緊急使用許可(EUA)を受けた。
→T-Detect COVIDは97.1%の感度と、100%の特異性を示しました。
※感度:陽性の症例を正しく識別する検出力(陽性者を見逃さない!)
※特異性:陰性の症例を正しく識別する検出力(陰性者を誤って陽性としない!)
◆immunoSEQ®およびimmunoSEQ® T-MAP™ COVID:
immunoSEQ アッセイは、免疫学における業界のゴールドスタンダード。
腫瘍学、自己免疫疾患、感染症、神経生物学、移植、基礎免疫学などの分野で研究者の発見を支援。immunoSEQ®テクノロジーは、学術研究者や製薬会社が、病気や治療薬に対する免疫反応を理解するために、免疫受容体のDNAをハイスループット規模でシークエンスする、定量的で高感度な免疫シークエンスソリューション。
immunoSEQ® T-MAP™ COVIDは、開発中のワクチンに対するT細胞の免疫反応を正確かつ再現性よく測定し、その反応の持続性を経時的に追跡するための独自の研究製品およびデータ解析サービス。
※immunoSEQ T-MAP COVIDは、COVID-19へのワクチンやその他の治療法に対する免疫反応を促進しているT細胞受容体(TCR)とSARS-CoV-2抗原の定量的なマップを研究者に提供します。この再現性のあるハイスループットかつ高解像度の分子データは、既存のクラウドベースの「immunoSEQ Analyzer」を通じて提供されることで免疫反応の解析と可視化を支援します。
◆Clinical portfolio and pipeline
→抗体医薬などが市場に出るにはまだまだ時間を要しそうですね。
業績
2020Q4
☑ Revenue:$30.2 million(△25%, YoY)
-Sequencing revenue:$12.7 million(▼8%, YoY)
-Development revenue:$17.5 million(△69%, YoY)
☑ Net loss:$44.6 million(▼$22.0 million, YoY)
☑ EBITDA:‐$34.6 million(▼15.9 million, YoY)
☑ Clinical sequencing volume:4,539(△41%, YoY)
FY2020
☑ Revenue:$98.4 million(△16%, YoY)
-Sequencing revenue:$41.4 million(▼5%, YoY)
-Development revenue:$56.9 million(△37%, YoY)
☑ Operating expenses:$251.2 million(△53.6%, YoY)
☑ Net loss:$146.2 million(▼$77.6 million, YoY)
☑ EBITDA:‐$119.6 million(▼62.1 million, YoY)
☑ Clinical sequencing volume:15,216(△50%, YoY)
→Operating expensesは研究開発費が約1.5倍(YoY)に。テクノロジー企業なのでこの投資は特に問題ないのでは?加えて今期はYoYで引き合いが大きく増加している。FDAからのEUAもあり、今後さらに業績を伸ばせる可能性が高くなったのでは?
株価
→昨年末~今年2月にかけて「三尊」を形成しており、調整タイミングも相まって大きく株価を下げています。
トピックス
☑ Barnett氏($ARKG の担当者)が、T-Detect™ COVIDと呼ばれるT細胞を利用したCOVID19診断システムの緊急使用承認をFDAから得たと説明。
→$ADPTと$NVTA(※)が一押しのようです。^^
※NVTAの過去記事はこちら。
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hideson-gifufufu.hatenablog.com
☑ Labcorp社との共同研究契約を延長し、成長を続ける当社の免疫関連臨床診断・研究製品のポートフォリオへのアクセスを拡大。
※Labcorp (NYSE: LH) :世界的なライフサイエンスのリーディングカンパニー。
医師、病院、製薬会社、研究者、そして患者が意思決定をするために必要な情報提供、さらに独自の診断と医薬品開発の能力を通じ、健康増進と生活向上におけるイノベーションを加速させている。2020年度に140億ドルの収益を計上している。
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
以上です!
免疫はコロナでも大注目の分野ですから、今後の事業展開にも注目していきたいですね。^^
ヘルスケアはワクチンだけではないんだ、ということを見せてもらいたいですね。
それではまた。