【業界ざっと見!】~3Dプリンター編②~【ZATTOMee!】
どうも。(。・ω・。)
ひーくんです。
「業界ざっと見シリーズ」第一弾、3Dプリンター編。好評につき、まさかの続編です。
今回の記事でも、「3Dプリンターってなんだ?」という方でも業界がよくわかってもらえる内容にしてますので、ぜひご覧下さい。
僕は当該分野の専門でもなんでもないですが、大変期待している分野ですので、業界から企業まで調べてみました。^^
第一弾の記事はこちら!
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hideson-gifufufu.hatenablog.com
今回の記事でも、投資活動にも役立つよう、個人的に注目している企業についてもざっと調べてみました。メモ程度にご活用ください。
さっそく始めましょう!
3Dプリンターって?(復習)
前回の記事と重複しますので多くは割愛します。^^;
下図を見ると、最近のテーマとしては、「宇宙」「機械化」「自動化」などが注目されているようですね。
3D systemsのIR資料にFigureがあったので紹介します。
もう本当に、「作りたいものを自由に作れる時代」が間近に迫っているんだと痛感します。
3Dプリンターの市場ってどうなの?
「3Dプリンター製造の世界市場(2020年~2030年)」
☑ 3Dプリンタ製造の2020年の世界市場規模:$ 8.7 Billion
(2019年は$ 10.1 Bilion、▲13.76%)で縮小する見込み
☑ 市場は次第に回復基調となる。2023年にはCAGR24.2%、$ 16.69 Billionに達する。
☑ 3Dプリンタ製造市場をけん引する最大地域は北米。アジア太平洋地域は今後急成長が期待される地域。
☑ 自動車分野での3Dプリンタ活用は、市場の成長を大きく後押しする。
→車両の軽量化、性能向上、燃費向上などへの拡大で3Dプリンタ需要増。
☑ 市場成長の抑制要因となっているのが、コスト。
→材料費、消費電力、関連ソフトウェアの導入/メンテナンスといったさまざまな要因が運用コストを押し上げている。
☑ 大型造形に対応し、従来よりも高速に造形できる装置なども開発。
(3Dプリンタ製造企業としてNexa3D光造形方式3Dプリンタ「NXE400」)
(発行:The Business Research Company)
(2021.1.27 追記)
「Big Ideas 2021(ARK invest)」
Inovativeな企業に投資している「ARK invest」が出しているレポートです。
☑ 3Dプリントは、設計から生産までの時間の短縮、設計者のデザイン力向上、煩雑なサプライチェーンの軽減、製造コスト抑制などを実現できる。
☑ 3Dプリントの売上高は2020年に減少。
→しかしパンデミック時には新規ユーザーが技術を活用した。
☑ 世界の3Dプリント市場は、120億ドルから今後5年間で約1200億ドル(年率60%)で拡大するとみている。
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※詳しくは1個目の記事に書いているので、そちらもご覧ください!
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3Dプリンター企業を見てみる
今回も、ARKの「3D printing ETF(※)」に組み入れられている企業を中心にピックアップしています。
1.STRATASYS($SSYS)
〈概要〉
◆世界をリードする3Dプリンティングカンパニー(OEM)。
~3Dプリントはすべてを変える可能性を秘めており、我々はその変革の最前線にいる~
◆業界のスタンダードである3つの技術の特許を持つ。
「FDM」:複雑なデザインを迅速に提供するだけでなく、ノンストップ印刷が可能。
さらにプラグを差し込むだけで印刷でき、生産性を向上させることができる。
「PolyJet」:高精度で14μmの層を作成し、滑らかな表面や薄壁などを実現。
ゴムから硬い物まで、広範囲な材料をサポートできる唯一の技術。
「Stereolithography」:液状のフォトポリマー樹脂をUVレーザーで硬化させた
容器に入れ、パターンを層ごとに固化させ、データから3Dモデルを作成。
→高精度、豊富な素材が使用できる。仕上がりも滑らかな表面となる。
※デモを見るに、強度なども事前に設定できるそう。
◆プリンターの特徴としては、
「大容量」または「多様な素材の組み合わせ」が上げられる。
◆J720 Dental、J750 Digital Anatomyなどといった歯や骨などの組織に類似したものを印刷する技術に優れる。
◆顧客:航空宇宙や自動車のグローバルリーダー、医療分野の新興企業や技術界の巨人まで様々。
※Google Arts and Culture:歴史的な遺物や遺産のモデルを忠実な色と正確なディテールで再現。
※Polaris:自動車業界にて、技術の最前線であり続けることに貢献。
◆CEO:Yoav Zeif
・2020年2月18日付で任命。
・数十億ドル規模の公的企業と民間企業の両方で経営者を経験。
・マッキンゼー・アンド・カンパニーのニューヨーク事務所のパートナー
・Netafim社(global micro-irrigation company)にてアメリカ大陸部門の社長、製品提供責任者、最高商業責任者
・Adama社(global crop-protection company)では製品・マーケティング担当上級副社長
〈業績〉
(2020Q3)
☑ Total Revenue: $127.9 M(▲18.8%, YoY)QoQでは回復傾向。
→製品やサービスを販売している顧客の業界全体へのCOVID-19の影響か。
☑ Gross margin(粗利):全体では40%弱。(▲10.8%, YoY)
→前期よりも改善気味か。意外と製品の方が粗利がいい。
☑ 純利益(Net income):▲$ 1.0 M(▲5.9%)
→まだ黒字化にはなっていない。
☑ 営業キャッシュフロー:$ 2.6 M。
→健全なバランスシート、無借金化。
〈トピックス〉
☑ ボーイング、フライトパーツ用にストラタシス素材を使用
☑ 米空軍のアディティブ・マニュファクチャリング・オリンピックでメダルを獲得
〈所感〉
・ARKのETFでも上位の組み入れ銘柄であること、またこの業界では大きい売り上げを誇る企業だと思います。
・減価償却費のせいで大きく利益が食われてしまっていますが、キャッシュ的にはある程度潤沢で、無借金なのは好印象ですがいかに。
2.Proto Labs($PRLB)
〈概要〉
◆試作および小ロット部品の製造会社。
→スケールアップした受託製造業者の中で、多品種少量生産の分野で事業を展開しているのはProtolabsだけ。
少量でも言うこと聞いてくれる数少ない受託製造会社です。
◆コンピューター数値制御(CNC)マシニングと射出成形技術をベースに、
顧客企業向けのカスタム部品を製造。
◆幅広いエンドユーザー向け製品を製造する開発業者を中心にサービスを提供。
→特にヘルスケア、コンピュータ関連が多い。(半分近くを占めている)
◆Proto Labs 2.0(eコマースデジタル製造プラットフォーム)
→2021年の第1四半期に米国でデビューする
◆製造へのデジタルアプローチにより、市場投入までの時間の短縮、
製造コスト削減、製品のライフサイクルを通じたサプライチェーンの柔軟性
などが強みになっている。
〈メリット〉
- 仮想在庫と大容量を活用し、従量課金にて収益化できる
- 試作品から生産まで簡単にスケールアップできる
- 需要変動の管理が容易である
◆以下のような他社優位性もある!
→サービスの幅やスペックは今後の成長ドライバーとなりそうですね。
◆ CEO:Dr. Jeffrey Graves
・MTSシステムズ株式会社 CEO
(テスト、シミュレーション、計測システムの開発に携わる)
・Kemet CorporationのCEO
・GE、Rockwell Automation、Howmet Corporationでも働いた経験。
・現在はFARO Technologiesの取締役を務める。
〈業績〉
(2020Q3)
☑ Revenue: $ 107.5 M(YoY:▲8.5%)
※Total Revenueは6年間で年率19%で成長してきた。(~2019年)
☑ 収益の8割近くはアメリカ。
→今後は他エリアへの拡大も目論んでいる?
☑ EBITDA:$30.0 M(YoY:▲7.2%)
※EBITDA:「営業利益+減価償却費」
(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)
→"簡便的なキャッシュベースの利益"、と認識しています。
EBITDAがよく用いられるのは次の2パターン。
①グローバルに事業を展開している企業
→金利や税率差、会計基準などによって最終利益に差が生じてしまう。そう言った要因を排除して、同じ土俵でグループ拠点の評価や海外の競合他社との収益性を比較・分析する際に用いられます。
②設備投資額の大きな企業
→減価償却の金額やブレによって、赤字または(営業)利益のブレとなる場合があります。このような影響を排除し、設備投資から得られた成果としての利益が順調に成長しているかどうかを評価します。
☑ EPS:$ 0.67(YoY:▲11.8%、QoQ:△12.5%) ※EPS(FY2019):$ 2.79
☑ Gross profit margin:51.7%
☑ 借入金なしの健全財政
☑ 季節的要因があるようで、Q4はQ3よりも業績を落とすらしい。
〈トピックス〉
☑ 成長戦略:
-顧客基盤の拡大(新規顧客、既存顧客内での売上、エリア拡大)
-性能改良(大容量・複雑さへの対応、新規素材)
-新製造技術(サービス、二次操作、検査報告など)
〈所感〉
・ここをフォローできていなかったのは悔しいです。
(製造メーカーだけじゃなくて受託製造もあるのか…。)
・ARKが運用している「PRNT」はもちろんですが、
「ARKK」にも組み入れられている銘柄です。
※ARKK(ARK INNOVATION ETF):破壊的イノベーション
「人工知能」「自動運転」「ロボティクス」「エネルギー貯蔵」「DNAシーケンス」「ブロックチェーン技術」「フィンテック」「3Dプリント」などのイノベーション技術に投資するETF。
▼ 詳細はこちら ▼
→2021年2月10日時点で11番目(2.37%)の比率を占めています。
・割と他のメーカーとの差別化ができているように感じる企業です。
差別化した企業がPFに欲しい、という方はいいかもしれません。
・決算は明日12日(金)のプレらしいです。
3.voxeljet AG (ヴォクセルジェット, $VJET)
〈概要〉
◆ドイツに本社を持つ産業用3D印刷システム・メーカー。
◆自動車、航 空宇宙、娯楽、建設、エンジニアリングなど商工業の企業向けに3Dプリンター、オンデマンド部品サービスを提供する。
◆大規模・シリーズ3D制作に特化した差別化された技術を持つ。
(市場最大級のバインダージェット3D印刷システム、多様な材料展開、迅速な製品提供を柱としている)
◆ビジネスモデル:
「受託生産」+「3Dプリンター、消耗品、アフターセールス」
◆ルーツは、1995年にUVレジンの最初の注入に成功したことにまで遡る。
→3Dプリントを使用した、複雑な部品の連続生産のための新しい生成プロセスを開発することを目的として設立された。
◆CEO:Ingo Ederer
・3Dプリンター市場で20年以上の経験を持つ。
・バインダー・ジェット技術の創設者。
〈業績〉
(2020Q3)
☑ Revenue: € 4.9 M(YoY:△10.6%)
SYSTEM Revenue: € 2.6 M(YoY:△64.2%)
SERVICE Revenue: € 2.2 M(YoY:△20.6%)
→「SYSTEM」の割合が増加している(36% → 54%)。
☑ Gross Margin:32.7%(△67.6%, YoY)
☑ Net income (loss):▲€ 4.0 M(▲8%, YoY)
☑ Order Backlog(受注残高):5台分の残高を計上している。
〈トピックス〉
☑ グローバル産業との長期的な関係を構築している。
☑ VJET X(高速3Dプリンター):3台追加発注あり。
→voxeljetとそのパートナー企業間で2018年に締結されたフレーム契約の一環として行われた。(OEM向けのVJET Xは現在5台。)
※VJET X #1~#5の収益は2021年半ばに計上される見込み。
☑ 上記の受注は、”3Dプリントを大量生産、工業生産に導入する”というVJETのミッションにおける重要なマイルストーンであり、新しい3Dプリンターが連続生産を可能にし、コスト効率を高めていることが明らかになった。
☑ VJETの新しい大型高速焼結(HSS)プリンターでの最初の印刷テストは成功。現在は小型の3Dプリンタで材料テストやプロトタイピングが可能。
〈所感〉
・売上や粗利は増えてきているので、今後成長が続けば伸びは期待できそうです。
→ただし今期の純利益は減って(損失が増えて)いるので、黒字化、といった話にはもう少しかかりそうかな。
・プレゼンテーション資料を見るに、ややニッチな技術で競合他社も少なそうです。
※今回の記事では紹介できていない企業もあります…。
特別枠.Nexa3D(再掲)
〈概要〉
◆スタートアップ企業。
◆製造手法は「量子レーザー焼結(QLS)」
独自のLSPc(Lubricant Sublayer Photo-curing)技術を搭載した超高速かつ安価な3Dプリンターの製造に特化。
◆必要不可欠なニーズに対応した重要な製品を製造できる
◆Circular economy principles(循環型経済):
電力、スクラップ、歩留まり、カーボンフットプリントなどの削減に向け部品の組み合わせ、部品の設計と納品なども配慮。
◆今後の進出領域:
・医療・歯科アプリケーションの製品設計
→Keystone Industries(歯科用光重合体樹脂メーカー)との提携。
・オーダーメイドの高機能フットウェア
・石油・ガス、エネルギー機器、航空宇宙、防衛
(特にドローンやロボット、宇宙探査用の展開車両やランチャー)
◆CEO:Avi Reichental
・かつて3D SystemsのCEOを務めたことがある。
(12年間の在職期間中に収益は6倍を超える成長を遂げた)
・テック系スタートアップの設立と指導、3Dプリントのイノベーション推進
私は3D SystemsのCEOとして、何年もわたって社内ですべてのことをやろうとしてきましたが、現代では良い戦略ではありません。
私たち全員が認識しなければならないのは、未来は私たちが思っているよりも速く、破壊と新技術は指数関数的なスピードで起こっているということです。
テクノロジーとイノベーションの速度とペースは、企業が繁栄するためには、その潜在能力を活用するために招集することができなければならないようなものです。
私は、どれだけのリソースを持っていても、一人のプレイヤーがすべてをこなすことができるとは思っていません。
Nexa3Dでは、これが基本的な基盤となっており、新製品開発のスピードが速いことは、この基盤となる信念を証明しています。当社のコラボレーション戦略は本当に拡大しており、より多くの企業が参加してくれることを願っています。
〈業績〉
☑ スタートアップ企業なので見れてないです。
☑ 4回のラウンドで合計4,000万ドルの資金調達を行っている。
(最新は、2020年2月24日にシリーズBラウンド)
〈トピックス〉
☑ COVID-19の期間に70台もの新しいプリンターを出荷。
→オペレーションの仮想化、ソフトウェアのバーチャルインストールなどリモートツールやバーチャルツールの導入を加速。
☑ NXT Factoryを買収し、ヘンケル、BASF、シーメンス、DSMと提携
☑ パートナーシップも積極的に締結。
Vossi Group Oy(芬; AMテクノロジーサプライヤー)
Promakim(土; デジタル印刷・3D印刷ソリューションを提供)
AXIOMATEK(墨; 自動機械・装置プロバイダー)
Product Development Inc. (PDI)(米; AMおよびプロトタイピング技術を提供)
☑ 南ヨーロッパの3DZ Groupとのリセラー提携を発表。
さらにベルギー、オランダ、ポーランド、ポルトガル、北米、南アフリカをグローバルリセラーパートナーを新たに追加。
☑ ドイツの大手再販業者Disc Directとの提携によるカスタマーセンターの設立。日本および中国でのシェア拡大なども発表される。
〈所感〉
CEOに期待しかない企業ですね。
最近トレンドの「医療 × 3Dプリント」に着目して歯科業界への参入を始めていますし、積極的に外部パートナーを作れていることは喜ばしいです。
一方で、それらの締結によるシナジーを見定めてからかな、とは思いました。(形には出にくいかもですが…。)
しばらくはフォローしていきたい企業ですね。上場したら絶対買います。
業績を比較してみよう!
それではここまでの企業の情報を横に並べてみます。
まずは企業情報(Ovrview)から。
これを見ると、XONE/VJETは他社と比較してまだ時価総額が小さいですね。
(もう少し大きいと勝手に思っていました。笑)
ただ単純にPSRで見た場合、
上がってきている状況でも過熱感はないようですね。
(NNDM、本当かな…?^^;)
次は、売上高(Revenue)です。
売上高は、DDD、SSYS、ついでPRLBが大きいです。
これはメーカーでなく、受託企業としての色合いが出ているからだと思います。
NNDMはインク(ソフト)が主力なので、プリンター自体と比較して単価が高くなく、売上としては比較的小さい状況となっています。
最後に、純利益(Net income)です。
現状、今回ピックアップした3Dプリンター企業の多くは、Net incomeがマイナス(赤字)となっています。
その中でも、特筆すべきはPRLBですかね。この状況下でも、利益をしっかり上げています。(さすがARKが組み入れる銘柄ですね…。)
SSYSに関しては、2019年に黒字化したものの、直近はコロナの影響もあってか大きくマイナスとなっています。
いずれの企業も、コロナショックからは立て直してきており、今後の市場規模を考えると期待は大きいと思います。
簡単な業界マッピングも作ってみたので参考にしてみてください。
最近はXONEのアナウンスなどもあり、3Dプリンター全体が上がってきている状況ですね。
→アナウンス明けの市場では、$XONEは△35%と大幅上昇しています。
($ XONE:僕は昨日(2月10日)の公募増資によって下げたタイミングで再度inしました。^^)
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
以上です!
来週も決算盛り沢山なので勉強しておかなくては…。^^;
次回はまだテーマ決めてないです。
それではまた。