【業界ざっと見!】~住宅・材木編~【ZATTOMee!】
どうも。(。・ω・。)
ひーくんです。
今回の記事では、「住宅・材木業界」の現状と企業についてざっと見していきます。
最近話題の「ウッドショック」についてもふれていきます。
それではさっそく始めましょう。
住宅・材木業界ってどんな業界?
今回の記事では、「家を建てたり、家を売ったりして収益を上げる企業」を指します。そのために必要な住宅販売企業や材木を供給する企業を対象に見ていきます。
ウッドショックとは?
不動産やアメリカ経済に詳しい方ならご存知かと思いますが、住宅などに使用する木材の供給が逼迫しているために価格が急騰、住宅価格も高騰してしまっています。
これには様々な要因が関わってきており、主に次の理由で木材の価格が急騰したと考えられています。
①コロナショックで住宅市場は一時生産を止めていた
②低下していた住宅需要がワクチンの普及による急激な回復
③コロナによる在宅+広い戸建て住宅の需要
④世界的なコンテナ不足
→詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ。
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僕がよくしてもらっている不動産会社の方もこんなことをおっしゃっていました。
グリーンショックによる木材高騰を受けて、木材の卸業者が値上げを決めた。うちは幸いにも大手の流通経路を持っているから今のところは価格や在庫にすぐすぐの影響はない。
しかしこちらで吸収できる価格上昇の幅を優に超えてくるため、うちの戸建などの価格が上がることは既定路線。大手・中小関係なく、住宅業界全体が遅かれ早かれ価格の引き上げに動くだろう。一気に上がることはないかもしれないが、この自体が長引くほどに戸建あたり「数十万~数百万」の価格引き上げが続いていくと思う。さらに中小規模の工務店などには木材が入ってこない状況すらも考えられる。
最近は日経新聞などでも誌上を賑わしている話題のようです。
ちなみに過去1年間で木材の価格は急騰(△400%)しています。
また木材の価格高騰を受けて、住宅価格も急騰しています。リーマンショック以前の水準まで回復し、その水準を大きく上回るまで急騰しています。
→木材価格高騰によって住宅メーカーの原価率が悪化し、従来の収益性が低下するのを防ぐために、価格転嫁をしたことによるものだと考えられます。
ただし、シカゴ木材先物価格のチャートからもわかるとおり、高騰を受けて一度買い控えが発生し、価格を落としています。そのため今回の高騰でも買い控えは発生すると思っていますが、上昇を続け最高値を更新しています。
この勢いはいずれ収束することは間違いないのですが、段々と価格がつり上がって言っているのが不気味ですね…。
マーケットの現状は?
◆コロナによって大きく需要が変化した業界のひとつ。
◆2021年3月期の新築住宅一戸建て販売数:102万戸(MoM△20.7%)
→半年前の1.5倍以上の水準です。価格上昇にもかかわらず、強い需要が続いています。明らかに住宅が不足していることが伺えます。
◆販売されたのに建築されていない住宅数(Backlogs Builds)も増加しており、戸建て住宅の需要と供給のバランスが崩れていることが伺えます。
◆米中古住宅販売件数:601万戸(MoM▼3.7%)と予想を下回った。なお、中古住宅価格(中央値):32万9000ドルと過去最高。
→新築住宅の価格が上がっているのならとこちらも需要がありそうなものですが…。中古住宅もめっちゃ価格上がっているんですね…。
→「在庫不足」と「価格高騰」が販売を抑制しているようですね。
物件価格の上昇や、住宅ローン金利の上昇傾向、そして住宅取得能力の点で状況がより厳しいものの、需要は引き続き強そう。
◆住宅ローン金利(10年国債金利に連動)はここ数週間じわじわと上昇してきているが、なお過去最低水準に近く、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中で、より広いスペースを求める動きは依然強いと思います。
→この低金利の状況も、住宅需要を後押ししている!
◆米国住宅着工件数も急激に増えており、リフォームへの費用投資も年々増え続けている。
アメリカは「住宅」ブーム?
◆ミレニアル世代が牽引し、世帯形成のピークとなる時期(35-44歳)の人口が大幅に増加している。これが住宅需要につながる可能性も。
◆価格は前年比で10%超上昇、新築用の土地不足も深刻化?
◆住宅ブームが木材、銅、レンガなど建設資材の価格を押し上げた。
→木材・レンガは過去最高値、銅は去年秋と比べ30%高。
◆米10年物国債の利回りが上昇、連動する住宅ローン金利が上昇傾向。今月に入り30年物固定金利が2020年7月以来はじめて3%超に。
◆金利上昇を受け住宅ローンの借り換え指数が前年比で39%低下した(2~3ヶ月前はYoY△100%超)。ただし新規購入による住宅ローン申請指数はYoY△5%(まだ金利上昇の影響を受けていない?)
◆金融危機につながった2006年の住宅ブームと比較すると金融機関のローン審査が厳格されていて、需給関係が価格を押し上げているとの考えが多数であり、バブル崩壊による金融・経済への影響は過去ほど大きくはないと考えられる。
※米カリフォルニア州南部の乾燥地帯で米国初となる3Dプリントによる住宅街の建設が今秋にも始まるそうです。面白い取り組みですね。
ここで一旦マーケットの市況をまとめてみます。
それでは住宅メーカー、木材メーカーなどを見ていきましょう!
住宅・材木企業を見てみる!
関連ETF
まずは「住宅」「材木」セクターの様子を見てみましょう。
iShares U.S. Home Construction ETF($ITB)
住宅建設セクターの米国株式で構成されるインデックスの投資成果に追随することを目指すETFです。
→コロナショック以降、住宅価格の高騰に連動した価格上昇を続けています。(ちなみに1年間のリターンは130.92%です!)
iShares Global Timber & Forestry ETF($WOOD)
材木および林業事業、または関連したグローバル株式で構成される指数と同等の投資成果をあげることを目指すETFです。
→木材価格の高騰に連動するかのようにコロナショック以降は価格上昇を続けています。(ちなみに1年間のリターンは90.16%です!)
※「材木」企業は非常に数が多く、トップシェアでも11%程度しかない。
住宅関連企業
次に「住宅建設」企業を見ていきます。
※米国の住宅はQ2~Q3が売上が伸びやすい傾向があるようです。
なので単純にQoQでの比較は難しいことは頭の片隅に置いておきましょう。
D.R. Horton($DHI)
企業概要
◆一戸建て住宅の建設・販売を手掛ける時価総額で米国最大の住宅建設会社。米国の南部、東部、中西部で収益の75%を占める。
→米国住宅市場の5大マーケット(DFW、Houston、Atlanta、Phoenix、Austin)のいじれもトップシェアを誇る。
◆利益率の高い住宅を建設するよりも、一貫したペースで住宅を販売するという戦略を採用しており、「住宅建設業界のウォルマート」とも呼ばれる。
◆ファミリー用の住宅シェアを着実に伸ばしている。
◆販売住宅の平均価格:$294.6 k
業績 (2021Q2)
☑ Revenues:$6.4 billion(△43%, YoY)
☑ Gross margin:18.3%(△4.5pt, YoY)
☑ Net earnings:$929.5 million(△93%, YoY)
☑ EPS:$2.53(△$1.30, YoY)
- Homes sold:27,059(YoY△35%)
- Homes closed(引き渡し済):19,701(YoY△36%)
☑ ROE > 20%, leverage < 20%
※Leverage:(支払手形)÷(株主資本+支払手形)
株価
トピックス
◆10億ドルの自社株買いも発表。
https://investor.drhorton.com/news-and-events/press-releases/2021/04-21-2021-210526514
Lennar Corporation($LEN)
企業概要
◆集合住宅と単身世帯向けの戸建て住宅を開発・販売する住宅建設会社。アメリカを代表する住宅メーカーであり、フォーチュン500社にも選ばれている。
◆住宅ローンや商業用不動産、投資運用、金融サービスも手掛ける。
◆市場シェアは17%程度。
◆戸建て住宅の平均価格:$396 k
◆成長率第5位のフロリダ州での売上が売上全体の29%、同第7位のテキサス州の売上が同16%を占める。
業績 2021Q1
☑ Revenues:$5.3 billion(△18%, YoY)
☑ Gross margin(home sales):25.0%(△4.5pt, YoY)
☑ Net earnings:$1.0 billion(△151%, YoY)
☑ EPS:$3.20(△$1.93, YoY)
-New orders:15,570(△26%, YoY)
-Deliveries homes:12,314(△19%, YoY)
-Backlog:22,077(△25%, YoY)
株価
トピックス
◆Upward America Ventureを設立。
→このプラットフォームは、高品質な住宅を販売するだけでなく、一部の住宅を賃貸に出すことで、全国の家族や個人が、頭金なしで新築の家に手の届く価格で住めるというユニークな機会を提供する。
https://investors.lennar.com/press-releases/2021/03-17-2021-161516110
AZEK Co Inc($AZEK)
企業概要
◆メンテナンスが容易で、環境に配慮した持続可能なアウトドアリビング製品の革新的なメーカー。(メンテナンス費用を抑えることで、顧客満足度を高める)
◆「アウトドアライフに革命を起こし、より持続可能な未来を創造する」
◆リサイクル素材の使用を促進することで、ESGsに貢献。製品は最大100%リサイクル素材で作られており、主に住宅の外壁に使用される木材の代わりとなる。
◆価格帯の幅も広く、ほとんどのニーズに対応可能。
マーケット
◆エクステリア市場は今後も強い成長が期待されており、AZEKの各カテゴリーはその市場成長を超える成長率を誇り、シェアも伸ばしている。
※市場CAGRはDeck:6%, Rail:5%, Trim:4%
◆コロナの影響もあり、消費者のアウトドアリビングへの関心が高まっている。
業績 2021Q1
☑ Revenue:$212 million(△27.8%, YoY)
-Residential:$186 million(△36.7%, YoY)
-Commercial:$27 million(▼10.0%, YoY)
→住宅需要が堅調、川下分野の売上好調、新製品への投資および良好なオペレーションにより、生産能力増強計画の第1フェーズが計画よりも早く稼動したことが要因?
☑ Gross Margin:41.8%(△1.8pt, YoY)
☑ Net income:$23.0 million(△536%, YoY)
☑ EPS:$0.15(△$0.12, YoY)
株価
→上場タイミングもあるかと思いますが、コロナショック以降の需要をうまく捉えており、株価も順調に伸びている印象です。
Rocket Companies($RKT)
企業概要
◆ミシガン州に拠点を置く金融サービス(不動産、住宅ローン)企業。
◆革新的なテクノロジーと6,600人以上の熟練した信頼できるアドバイザーからなる「Rocket Cloud Force」によって、住宅や自動車の購入といった複雑な取引を消費者が簡単に行えるように支援している。
◆チームメンバー1人あたりの月間ローン成約件数:10.2件(業界平均の約3倍)
どんなサービスがあるの?
◆Rocket Auto:中古車販売プラットフォーム
◆Rocket Homes:住宅売買デジタルプラットフォーム
◆RocketMortgage.com:電話やチャットでのモーゲージバンカーとの対話、地元の住宅ローンブローカーとの連絡など、WEB上で簡単に住宅ローンの手続きができる
◆Rocket Loans:無担保ローンを中心としたデジタルパーソナルレンディング
◆毎年何百万人もの顧客が車の購入、個人ローンの組み方、住宅ローンの組み方などで利用。(※データサイエンスによって$75 billion以上の住宅ローン申請量を推進)
→リアルタイムのインサイトによって革新、迅速なピボット、市場の変化の予測、そして場合によっては全く新しい会社を開発するなど正しい判断を迅速かつ効率的に行うための重要なマーケットアドバンテージ。
◆純顧客維持率:91%(2019年12月31日~12ヵ月間)
→この指標と顧客生涯価値との間には強い相関関係があり、多くのサブスクリプション型ビジネスよりも優れている。
業績 2020Q4
☑ Revenue:$4.7 billion(△147%, YoY)
☑ Net income:$2.8 billion(△250%, YoY)
- Closed loan origination volume:$107.2 billion(△111%, YoY)
- Net rate lock volume:$96.0 billion(△119%, YoY)
☑ EPS:$1.14
株価
トピックス
随時更新予定^^
住宅が売れるならここも伸びるって感じでしょうか。
材木関連企業
West Fraser Timber($WFG)
企業概要
◆カナダの材木会社。材木(Lumber)や集成材(Engineered Wood※)、ファイバーボード、パルプ、ライナーボードなどを製造。$WOODの組み入れ上位銘柄。
※集成材(Engineered Wood):断面寸法の小さい木材を接着剤で再構成して作られる木質材料である。構造用と造作用に分類され、主に建材やテーブルの天板などの家具素材として用いられる。
◆住宅用(新築・リフォーム)の材木が売上の4分の3を占める。
◆世界的な配向性ストランドボード(OSB)の大手メーカーを加えて拡大し、米国OSB市場のトップシェアを誇る。
業績 2020Q4
☑ Revenues:$1.68 billion(△50%, YoY)
☑ Operating earnings:$515 million(△$546 million, YoY)
-Lumber segment:$503 million
-Panels segment:$57 million
-Pulp & paper segment:-$36 million
- 原木コストは上がっているものの、合板の価格上昇と堅調な合板需要などで相殺(むしろプラス)出来ている様子。
- パルプ事業については、北米における印刷・情報用紙の消費量は引き続き減少するものの、アジアの需要改善によって相殺。
中国での古紙使用禁止に加え、板紙・ティッシュ・白板紙工場の稼働率が高いことから、輸入パルプの需要が高まっている。(パルプ市場は2021年前半には改善する可能性が高い?)
☑ Gross margin:22.0%(△24.7pt, YoY)
☑ Net earnings:$366 million(△$408 million, YoY)
☑ EPS:$4.92(△$5.08, YoY)
株価
トピックス
◆2021年2月1日にNorbord社の買収を完了。
→北米、欧州、アジアにおける製材、パネル、パルプ、OSBなどを展開するグローバルな木材製品のリーディングカンパニーに。
◆B.C やAlbertaなど特定の州では、伐採された木材に対して「stumpage fee(伐採権費)」の支払い義務がある。
・Alberta:丸太を加工する製品の販売価格に応じて決定。
・B.C.:特定の公的木材伐採権オークションで決定。
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
以上です!
※余談※
住宅建設企業の株価収益率(PER)は業績が好調なときに極めて低く、不調になると高くなることがある注意が必要です。
そのため、住宅建設業者を評価するために以下の指標を使います。
『EV/EBITDA ratio』(時価総額に借入額を加えた金額(企業価値, EV)をEBITDAで割った比率)
→企業価値と現金収益との比率を比較することが可能になります。
僕もマイホーム購入検討中なので、住宅価格が上がる前に決めてしまわねば…。
それではまた。^^