【DRIO】DarioHealth ~糖尿病デジタル治療の新星~【ZATTOMee!】
『企業分析シリーズ』始めました。
第一弾はイスラエルの医療スタートアップ、「DarioHealth」です。
どうも。(。・ω・。)
ひーくんです。
前回の記事でも軽く書きましたが、
現在自分は「イスラエル企業」への投資を検討しており、
いろんな企業を調べているところです。^^
そんな中で現在注目しているのが、
「DarioHealth($DRIO)」です。
今回の記事では、$DRIOの業界からビジネスモデル、
財務分析まで見てみました。^^
それではさっそく始めましょう。
DarioHealth($DRIO)ってどんな会社?
企業概要
◆慢性疾患治療薬ソリューションのイスラエル企業。
◆糖尿病、糖尿病、肥満、および高血圧患者に向けた自己管理デジタルプラットフォームを提供。(行動データを収集・解析 ⇔ より精度の高い提案)
◆最も評価の高い糖尿病ソリューションの1つであるとともに、高血圧など他の慢性疾患に対するソリューションを急速に拡大中。
◆他のリモートヘルス企業から非常に優秀な人材を集めており、特にOntrak($OTRK)などからも入社している。
◆CEO:Erez Raphael
※Managementには、「Omado」「Upright」「J&J」など
競合や大企業からも参画している。
マーケット
◆関連業界のTEMは非常に巨大である。
デジタル治療分野TEM:$ 720 B
慢性疾患治療TEM:(代謝性疾患市場:$ 108 B)
-生まれる子供の3人に1人は将来、糖尿病を発症する。
-アメリカ人の10人に7人の死因は「慢性疾患」。
-アメリカ国内の慢性疾患患者数は1.5億人以上。
-ヘルスケア費用の75%は慢性疾患の治療に充てられる。
-米国経済への年間トータルコスト:約3.7兆円。
◆慢性疾患治療における「デジタル治療」のシェアは1%以下。
→拡大が大きく期待されるマーケット状況です。
◆慢性疾患の管理を遵守することは健康状態の改善、生活の質の向上、
および費用対効果の高いヘルスケアにつながります。
◆モバイル技術は、患者とのコミュニケーション、モニタリング、
教育、慢性疾患アドヒアランス(服薬管理)を促進します。
デバイス・アプリケーション
◆DRIOが目指しているデジタルアプリケーションの概要はこんな感じ。
DARIO Health™
◆「糖尿病のデジタル治療ソリューション」
携帯電話に差し込むだけで血糖値を検査できる小型デバイス。
→ユーザーに何をすべきかをフィードバックする。
さらに糖尿病の管理方法についてコーチに連絡することもできる。
〈エビデンス〉
◆DRIO社のデバイスによって、次のような成果も報告されている。
- eHbA1c(※)が1.4%改善
- 低血糖症状が50%低下
- 高血糖症状が60%低下
-これらの結果は、2年間かけて取得されたデータに基づいている
※eHbA1c:2型糖尿病患者に有用な血糖コントロール指標
(HbA1c値は貧血などにより平均血糖値を正しく反映しないこともあります)
◆65歳以上の2型糖尿病患者への有効性も確認している。
-65歳以下と同様に、数ヶ月で血糖値が低下し、
その後も同程度もしくは低下傾向で推移。
→糖尿病治療として年齢を問わず高い効果が期待できる!
▼詳細は情報は以下参照(ポスター)▼
https://www.dariohealth.com/wp-content/uploads/2020/11/MK-0280-RevA-DTS-2020-poster.pdf
◆糖尿病だけでなく、「高血圧」にも有効性が示されている。
(こちらは2020年8月にポスター発表されたようです。)
論文名:Impact of mHealth Chronic Disease Management on Treatment Adherence and Patient Outcomes: A Systematic Review
→Darioのプラットフォームを利用した高血圧患者345人の観察研究が引用。
ベースラインと比較して、3ヵ月後の血圧と6ヵ月後の血糖コントロールが
有意に改善したことが明らかになった。
※余談ではありますが、
DRIO社のAppは、iOSストアにて素晴らしいレビューを受けているようです。
Upright™
◆「筋骨格疾患のデジタル治療ソリューション」
筋骨格疾患には、腰・首・肩の痛みを伴うものも含まれており、
成人の約半数がこの種の疾患に悩まされています。
※筋骨格:骨や筋肉、腱、靱帯、関節、軟骨、その他の結合組織のこと。
◆DRIO社は、次なる成長の柱として注力しており、
直近では「Upright Technologies」社を買収している。
-行動科学、バイオフィードバックおよびウェアラブル技術を駆使して、
MSK疾患の予防と治療に焦点を当てたデジタルヘルスカンパニー。
-アクティブユーザー:9万人超。
-臨床的に検証されたソリューションは、世界中500以上のクリニックで推奨。
-「Upright™」というデジタルアプリケーションを提供している。
◆「Upright™」の特徴:
大きな軸(コンセプト)は「DARIO health」と一緒!
-ユーザー満足度が非常に高いD2C重視
-背中・首・肩の解決策を提供することで、MSKの症状の52%をカバー。
-"センサー"+"ソフトウェアアプリケーション"+"コーチング"
-持続的な行動変容による成果を促進するように設計。
※57,000人の大規模グループにおいて、18ヶ月使用することで腰痛が有意に減少(54%~61%)
◆「Upright™」の臨床結果:
→Upright™のトレーニングプログラムで座位胸部姿勢が有意に改善。
→Upright™はパーキンソン病患者の姿勢、特に首の屈曲を改善する。
◆なぜ「筋骨格疾患」なのか?
- 巨大なTAM
→筋骨格疾患の治療費は年間 $213Bにものぼる
- 健康状態に与える影響が大きい。
→従業員の多くが悩みを抱える疾病である。
- 消費者中心のソリューションが必要
→自社が有する糖尿病ソリューションと類似のアプローチが可能
- 45歳以上の糖尿病患者の36%が併発している。(下図参照)
→同一の顧客にアプローチできる
ビジネスモデル
◆「慢性疾患デジタル治療ソリューション」+「高収益SaaS」
-スタンダード:月額 $ 25
-プレミアム:月額 $ 60
(アプリ機能拡張、ヘルスコーチングシステム追加)
-他プラットフォーム(医療機器メーカー、プロバイダー):月額 $39
※PMPM(Per Member Per Month):1人の会員の1ヶ月の医療費総額の平均。
→医療費の指標であり、さまざまなパラメータに対して分析される。
◆消費者へのD2C企業から、B2B2Cなデジタルヘルスプラットフォーマーへ。
(遠隔患者モニタリングプロバイダーなどに製品を販売している)
→D2Cモデルでの成長・認知度向上や、実証に基づいた確かなデバイスなどが
評価されて、B2B2Cのビジネスモデルに移行できているのでは?
※B2B2Cの経済性は、B2Cの経済性よりもはるかに優れている。
-マーケットの規模
-顧客数(従業員や法人顧客など)
-今後の成長速度
また2020年第2四半期コールでは以下のように言われている。
・顧客1人当たりの収益:月平均 6ドル前後 → 70ドル前後に引き上げ
・粗利益率:75%前後に引き上げ
・CAC:100ドル前後 → 20~30ドル前後に引き下げ
◆現時点で数社との契約も完了しており、より他業種企業への
アプローチも開始している様子。
◆3つのB2Bチャネルによって、$200 M以上の潜在的なパイプラインがある。
→これは現在の時価総額の2倍に相当するとのこと。
企業の状況を確認する
財務関連
〈業績〉(2020Q3)
☑ Revenues:$2.04 million(△9.3%, YoY/△14.2%, QoQ)
そのほとんどがコンシューマー・ソリューションによるものです。
顧客1人当たりの収益が低く、CACが高いため、収益の伸びは鈍い。
※B2B2Cに移行すると、CACが大幅低下、顧客の月間収益は大幅増加
☑ deferred income:$1.28 million(すでに来期計上予定)
☑ Gross profit:$0.55 million(▲37%, YoY)
☑ Gross Margin:26.9%(FY2019Q3:46.7%, YoY▲42.4%)
→当社製品の平均販売価格の低下によるもの。
→ハードウェア販売の影響で2020年度は着実に改善している。
B2B2Cへの移行を続ける中で、粗利率は今後も改善していく見込み。
☑ キャッシュは合計$37 million 保有。
(Q2ではキャッシュは$13M → 7月に大規模な増資、$28M調達)
☑ COVID-19のブレイクアウトに伴う一時的な給与削減
☑ 現金の代わりに報酬の一部を株式で受け取ることで現金を保有する
→過去5年間でキャッシュフローに400万ドル以上の貢献。
☑ 2021年に1,000万~1,200万ドルの収益ガイダンスを上回る可能性が高い。
→2020年の水準から約50%の成長を示している。
バリュエーション
(2021.2.14時点)
- 株価:$ 30.42
- 時価総額:$ 444.07M
- Revenues:$2.04 M
- PSR(4x):54.42
→今週の急騰でだいぶバリエーションが高くなってしまった印象です。
成長ドライバー
-D2Cのユーザー層の拡大
収益性の高い消費者チャネルの継続的な成長を目指す
-製品の機能強化(筋骨格疾患)
-B2Bクライアント経由でのスケールアップ
既存・新規パートナーシップの活用による市場拡大
→これらがすでに実現可能性が高くなってきているのが好感度高いです。^^
競合比較
〈DRIOの強み〉
☑ 優れた技術ソリューション
→シームレスなユーザー体験を提供します。
臨床結果につながる優れたユーザーエンゲージメント
☑ 実証済みの臨床成績
→ユーザー~DRIO間のバーチャサイクルは、自社のAIの優位性を保つ。
☑ 競争力のある価値ベースの価格設定モデル
① Livongo health($ LVGO)
・デジタル慢性疾患治療のパイオニア。
・Omada Healthなど多くの競合他社の中でも収益を上げ続けた。
・ソリューションは糖尿病用のLVGOと非常によく似ているが、
DRIOのソリューションの方がはるかにシンプルで迅速。
(LVGOは検査するための特別な装置を必要)
→通常の携帯電話で使用できるため、ソリューションが生活に溶け込む。
・DRIOのソリューションはいくつかの臨床研究によって検証されている。
・2020年、TDOC社に2兆円で買収された。
→遠隔治療には必要なインフラの可能性があるのでは。
② Omado health
・デジタル行動変容のパイオニアである。
・ターゲットとしている疾病も重複している。
・一貫したソリューションにより、Omadoよりは顧客満足はやや高いとみる。
・国際展開の面からは、DRIOがやや優位か。
トピックス
☑ 州の医療保険会社との後期協議の開始
☑ Vitalityプラットフォームでの雇用主獲得
☑ 遠隔患者モニタリング案件を2件獲得。
☑ Shortlisterの優先ベンダーに選ばれた。
☑ Mercer [ph] VIPプラットフォームに追加された。
所感
個人的には「イスラエル」+「デジタル」+「医療系」+「Saas」が
熱すぎるのですがどうなんでしょう。
LVGOが競合となっていますが、「簡便性」「迅速さ」で差別化できているとは思います。そこの武器だけでどこまで顧客を取れるかは見ものです。
株価がここ数日で上昇していますが、その前に入ることができてちょっとホクホクです。この急騰でバリュエーションは非常に高く(4xPSR>50)なりましたが、来期に既に予定されている売上などを見ると、来年以降にはそこまで気にならないバリュエーションになるのではないかと思っています。
来月3月に決算があるので、それを見て追加で入ろうかと考えています。
まとめ
それでは今回の記事をまとめます。
- イスラエル企業としては非常に有力。
- Saas+B2B2Cモデル:「大量顧客による」「安定的な」収入が期待できる。
- ターゲット層(TEM)は大きく、市場としても十分な伸びしろ。
- 個人的にはエビデンスベースドな事業が気に入っています。
- 3月決算!良くても悪くても値段見て買います!
以上です!
こんな感じで個別銘柄の分析(調査)をやっていこうと思います。
次回は、別分野の企業にチャレンジする予定…!
それではまた。