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ZATTOMee! ~研究者の投資blog~

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【備忘録】開発者と消費者とのギャップのおはなし

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どの業界でも埋まることのない消費者と生産者のギャップ。

実務でぶつかったもやもやを文にしてみます。

 

 

どうも。

 

ひーくんです。

 

 

今日は、保存効力試験からは少し離れて、「防腐剤」というテーマについて僕たち開発者とお客さんとのギャップについての記事を書きます。

 

 

化粧品開発者として働く以上、必ずと言っていいほどぶつかる深い深いギャップのお話です。

 

 

「防腐剤」はテキ?ミカタ?

 

今日、自分が勤めている会社に1件の電話がありました。

自社が出している製品ユーザーからの電話でした。

 

 

 

「おたくの化粧品を使っていたら、肌が少し痒くなった。見てみれば、お宅の製品には防腐剤が入っているじゃないか。」

 

「この痒みの原因はこの防腐剤なんじゃないのか。だったらなんでこんなものを入れているんだ。」

 

といった内容でした。

 

 

 

自社の製品によってお客様が不利益を受けたことは間違いないですし、おっしゃることもわかります。

防腐剤は殺菌作用を持つものが多くありますので、過剰に入れると皮膚刺激性を示すことは周知の事実であり、そうはならないように上限なども設けられています。

 

  ☟詳しく知りたい方はこちら☟
hideson-gifufufu.hatenablog.com

 

 

 

ただ化粧品開発者としては、お客様の言葉の最後の一文が引っかかってならないのです。

 

「なんでこんなもの(防腐剤)を入れているんだ。」

 

 

決してお客様に不利益を与えるために配合しているわけではありませんし、

国際規定も遵守しておりますので、お客様の不利益に繋がるような可能性は

極力減らす努力はしているつもりです。

 

 

しかし、このような声が上がるということは、

まだ開発者の真意が消費者のもとに十分に届いていないからだと思います。

(届ける必要があるかどうかは別にしておきます。)

 

ここに大きな大きなGAPがあるわけなんです。

 

 

消費者の皆さんに僕が言いたいのは、

「確かに防腐剤には不利益な面もあるが、それ以上に化粧品品質を守るために重要な役割を持っているんだ」

ということです。

 

 

 

なぜ「防腐剤」を入れているのか?

 

お客様が化粧品を使う理由ってなんでしょう?

 

私は、「きれいになりたいから、きれいでいたいから」だと思っています。

 

 

私たち開発者も、少しでもそのお手伝いができればと製品を市場に送り出しているのですが、

肌や髪という世界は、個人差によるものが大きく、全ての人に安全な化粧品を作る技術はまだ確立されていないんです。

 

 

このことは、食品アレルギーの話にも通ずるものがあると思います。

全員が安心して手に取れるものはまだ市場には出てきていないんです。

 

 

 

ですから、残酷な話なんですが、

 

どれだけ高価な製品、安心を謳う化粧品、評価の高い製品を使っても、

肌荒れを起こす人は必ずいます。

 

 

きれいになれる、きれいを守れると思って手にとった化粧品で肌荒れが起こるなんて、

お客様からしたらたまったものではありません。

 

 

個人的にも、企業的にも、そのような思いをする方を

ひとりでも減らしたいという想いで開発をしているんですが、

肌荒れなどのやりきれなさを「防腐剤」などに集約してしまうのは、

やや理論が飛躍してしまっている印象が拭いきれません。

 

 

防腐剤は、「肌への刺激」という観点で見れば、確かにマイナス要素であり、極力排斥すべきものでしょう。

 

ここ数年で、「パラベンフリー」「防腐剤フリー」が大きな風潮となり、

ますます「防腐剤は抜くべき」という意識が強まっているように思います。

このことからも、消費者の意識は「肌への安全」に向いていることがわかります。

 

 

 

しかしそれでも企業として、開発者として配合しているのは、

製品の品質を守る」ということに重きを置いているからなんです。

 

 

仮に防腐剤を全く配合しない化粧品を製造したとすると、

たいていの場合、細菌やカビが化粧品内で増殖して、

防腐剤による不利益よりもずっと大きな健康被害を被ることになります。

 

 

私たち開発者は、「製品の品質維持」を第一の企業責任と考えておりますので、

防腐剤を配合する方向で開発を進めるため、どうしても消費者とのGAPが生じてしまうんですね。

 

 

 

開発者として「防腐剤」とどう向き合うか

 

このGAPを埋めるためには、防腐剤の安全性や開発者の思いなどを伝える必要があり、多くの企業が取り組んでいますが、一度生じた大きな潮流を変えることは難しく、なかなかGAPは埋まりそうにありません。

 

 

ただし、開発者がすべきことは、

「多面的に見て安全な製品」の開発だと私は考えております。

防腐力はもちろん、パッチテストなどで皮膚への安全性も確認し、

そのような製品の品質を守り続けることが開発者の使命だと思っています。

 

お客様の言う、「肌に優しいけど菌が生えるかもしれない化粧品」ではなく、

「一部のお客様への理解は得られないかもしれないが、一般的に安全な化粧品」を作るべきだと個人的には考えています。

 

 

ただ、「防腐剤フリー」の化粧品を開発できる開発者は

大変高い技術や知識を有していると思われますので、

全く羨ましくないと言ったら嘘になりますが。

 

 

ある日突然、ブレイクスルーによって、

防腐剤がなくても安全な化粧品や、万人に安全な化粧品が生まれる日も来るかもしれません。

そうすれば開発者も消費者も望んできた化粧品が実現することでしょう。

 

その日が来るまでは、今までどおり、「多面的に見て安全な化粧品」の開発に勤しんでいきたいと思います。

 

 

 

今日はここまで。

 

 

それではまた。