Cosmetic Developer Blog...

ZATTOMee! ~研究者の投資blog~

米国企業・業界を”ざっと見”するブログ。初めての方でも興味を持ってもらえるよう、5年後、10年後に少しでもいい生活ができるように勉強したことや実践したことを発信中!

防腐成分ってどんなものがあるの?

f:id:hideson:20200904003342j:plain

化粧品試験シリーズ第7弾。

今回は「防腐剤」について簡単にまとめていきます。

防腐剤は全部が悪者ってわけではないこと、伝わるといいなあ。

 

 
どうも。
 ひーくんです。
 
  
 
今日は、保存効力試験の内容ではなく、
化粧品の安全性を担保してくれる「防腐剤」についての記事です。
 
 
世間一般的には悪者とされている防腐剤ですが、
化粧品の安全性を守るためには欠かせない成分となっており、
安全が十分に確認された上で国際基準が設けられている成分もある程です。
 
 
このように非常に安全性が高い防腐剤なのですが、実はいくつもの種類があり、それぞれ少しずつ特徴が異なっています。
 
 
防腐剤の一覧などは諸先輩方が記事にしてくださっておりますのでこちらの記事では一部を抜粋するに留めておきます
 
 
それでは早速内容に移っていきましょう。
 
 

防腐剤ってどんな種類があるの?

 

 有機酸(またはその誘導体や塩)

 

カルボキシ基(-COOH)をもつ化合物の総称です。

結晶性の固体が多い防腐剤群です。

塩以外は水に不溶性のものが多いので、特に指定がなければ塩を使いましょう。

※今回も塩として列挙しておりますのでご留意ください。

 

 

《成分例》

 →酸性で防腐効果があります。
  シャンプーでよく採用されています。
 

 →角質軟化剤、ニキビケアに使われています。

  安息香酸よりも中性域での働きは弱いです。
 
  • デヒドロ酢酸Na

 →上の2つと異なり、中性でもある程度効果があります。

  皮膜原料への吸着が少ないため、マスカラやアイライナーで汎用されています。
 

 →幅広い微生物に効果を示し、無臭で低コスト、揮発しない特徴があります。

  また抗菌性を示す濃度では安全性が確認されていることから、もっとも汎用されている防腐剤です。(なお、その安全性の高さから、医薬品にも1920年代あたりから使用されています。)

 
 ※国内は配合上限量を 1.0% としていますが、
  欧州では 0.8%、米国では 0.4%を上限としており、各国で異なるものの、
  ほとんどの化粧品の配合量って、0.1〜0.5%くらいにおさまるんじゃないの?と個人的には思っています。
 

 

 

 


フェノール類

 

フェノール基を構造として持つ化合物の総称です。

結晶性を持ち、水に難溶性のものが多いです。

殺菌力は強く、皮膚刺激性に注意が必要です。(パッチテストで要確認!)

 

 

《成分例》

  • イソプロピルメチルフェノール
  • グルコン酸クロルヘキシジン液
  • クロロフェネシン
  • フェノール
  • ベンジルアルコール
  • フェノキシエタノール

 →パラベンより抗菌効果は低いが、水溶性が高い成分です。

 パラベンフリーの潮流により、使用量が増加している防腐剤です。各国の規制値は統一で <1.0%となっています。

 

 

 

4級アンモニウム塩(カチオン系界面活性剤)

 

4価のアンモニウム塩です。

殺菌力が高いうえに、比較的水に溶けやすいので使いやすいです。

(※溶媒に高級アルコールなどが使われていると溶けませんのでご注意を。)

というか、トリートメントであればほぼ確実に入ってます。笑

 

 

ただし、pHに依存して抗菌性を示すため、pHには注意が必要です。

例えば私が今使っているカチオンは、pH=4.1~4.2あたりが最もよく働きます。

この至適pHはカチオン毎に異なるので、前例に倣わず確認しておきましょう。

 

 

 《成分例》

 

 

多価アルコール(特にアルカンジオール)

2個以上のヒドロキシ基(-OH)を持つアルコール類のこと。

 

 

アルキル鎖の末端付近に存在する方が、水分への親和性が高くなり、

より多くの水分を自身で抱え込むため、微生物が必要とする水分を奪いやすく、

抗菌力が強くなります。

→これは、炭素数が大きいほど、アルキル基が大きくなり、多くの水分が必要となるためです。

 


素数の多いものにより強い抗菌作用があると言われており、

またヒドロキシ基の結合位置が1、2位のものが抗菌性が高いです。


ただし、グリセリンソルビトールは単独では効果がありません。

 

 

 

 

 

 
 
 

保存効力を発揮するのは防腐剤だけなの?

 
保存効力を発揮するのは、防腐剤だけではありません。
 
次にお示しするような成分もうまく使えば保存効力を発揮しますので、
防腐剤と組み合わせて保存効力を高めることができます。
 
 
 

防腐代替剤

 

防腐剤に指定されていないが、防腐剤に匹敵する効果を持つ成分

(なんで指定されてないんだろう...?)

「防腐剤フリー」を謳える成分として、配合製品が増えてきているようです。

 

 

 《成分例》

  • カプリルグリコール
 →細菌、酵母には <1.0%で有効ですが、カビには効きにくいです。
  また水に溶けにくいので、油分が多いと保存効力が下がってしまうかも。  
 
 
 
 
 
 

防腐助剤 

 

数%配合することで、防腐剤と併用効果を示す成分。

 

 《成分例》

 →グラム陰性桿菌に有効、大腸菌緑膿菌
  防腐剤と併用することで、数%で有効性を示す。
  (単独だと10%くらいいります)
 →高濃度で殺菌効果。
  数%だと、防腐剤と併用して防腐剤の効果を促進すっらしい。
 
 
また昨今では、防腐助剤を活用することで、防腐剤の配合量を減らす、
という工夫をしている化粧品もあるそうです。
 
この手の化粧品の開発技術は日本が一番進んでいるようです。
さすがメイドインジャパン、といったところでしょうか。
 
 
 
 

終わりに

 
さて、ざっと書いてきましたが、これくらいにしましょう。
大きな分類と特徴さえ覚えてしまえば、すべてを覚える必要はないかと思います。
 
 
消費者が敏感になっている現代では、防腐剤はNGとされていますが、
指定されている成分は十分安全であること、また肌や髪には個人差があり、
100%安全な成分は存在しない、ということは開発者はもちろん、
消費者の皆様にも理解していただきたいポイントだと思っています。
 
 
こういった情報発信は、化粧品メーカーや団体が積極的に実施していくべきだと思いますし、ひとつの情報に踊らされない情報リテラシーを見につける必要があるかと思います。
 
 
当ブログでも、正しいかつ最新の情報を発信できるよう努めてまいりますが、
あくまで参考として、ほかのリソースも参照するようにしてください。
 
 
 
 
 
それではまた。