【業界ざっと見!】~金融・銀行編~【ZATTOMee!】
どうも。(。・ω・。)
ひーくんです。
今回の記事では、「金融・銀行業界」をざっと見していきます!
4月も中旬に入り、2021年Q1の決算シーズンに入りましたね。
先陣を切ったのが銀行銘柄でしたので、今回はそちらに注目してみました。
それでは早速始めましょう!
金融業界とは?
まず、金融業界とは具体的にどのようなことをする業界を指すのでしょうか?
金融:「資金に余裕がある人が資金を必要としている人に資金を融通すること」
金融業界は主に「銀行」、「証券」、「生命保険」、「損害保険」、「消費者金融」、「クレジットカード」、「リース」の7つのセグメントに分類されます。
金融業界全体はYoYで△0.4%でした。(業界としては少し大きくなっているんですね…。正直意外でした。)
セグメントごとの業績は、以下のようになっています。
「銀行」:△1.3%
「証券」:△4.7%
「クレジットカード」:△4.2%
「リース」:△4.0%
「生命保険」:▼4.7%
→2020年は、「証券」や「クレジット」、「リース」が伸びたにも関わらず、規模が大きい「銀行」や「生保」の業績が振るわなかったため、金融業界全体の伸びはいまいちでした。
金融業界の7つのセグメントのうち、「銀行」と「生命保険」が大きなウエイトを占めており、これら2つのセグメントが金融業界に大きな影響を及ぼします。
【銀行】
・近年の銀行は「マイナス政策金利」の長期化により、「低水準の貸出金利」が常となっています。いわゆる銀行の「稼ぐ力」が長く低迷する中で、地方では人口減少と高齢化が加速。そこに、新型コロナが追い打ちをかけました。銀行業界の現状はとても厳しいと言えますね。
【生命保険】
生命保険業界も、「標準生命表」の改定に伴う死亡保険料の値下げ、低金利による外貨建て保険の低迷が続いているなか、新型コロナが追い打ちをかけました。以前からネット販売に押されていた対面販売は、新型コロナの影響により自粛を余儀なくされました。
※「銀行」「生命保険」:ともにコロナによる影響はありますが、いずれもコロナ前から苦戦が続いていたところがポイントで、その本質を分析し、改善することが求められています。
【証券】
株式市場の動向に左右される傾向がありますが、20019年の株式市場は米国、日本ともに好調で、投資家の資金流入も多く見られました。これに伴い、個人向け、機関向け、対面、ネットともに好調を記録しています。また、各社のアセットマネジメント(資産運用)部門も好調に推移しているようです。
【クレジットカード】
2019年のクレジットカード取扱高は64.9兆円で、過去最高を記録しています。景気の回復に加え、インターネット通販の拡大が追い風となっています。
この中でも、今回の記事では「銀行」業界をざっと見していきます。
金融市場のマーケット
◆激動の2020年
コロナ収束に向けて、強い経済指標が示され始めています。
→金融業界の収益性の改善が期待されているようですね。
◆低金利政策による収益低下
ここ数年間で銀行や保険会社を悩ませているのが、「コロナによる低金利」です。これによって、金融機関が企業や個人に貸し出す際の金利が低下し、収益を得られにくい状態になりました。今後もしばらくは低金利状態が続くと見られています。
◆「OMO(Online Merges Offline)」のアプローチ
現在では若者からシニア世代まで多くの人がモバイルデバイスを持つようになりました。人々の可処分時間の多くが、モバイル上へとシフトしています。したがって、モバイルを起点としながら、必要に応じてオフラインでサポートする必要があります。
オフラインの拠点は必ずしも銀行の支店である必要はなく、相談専用のオフライン拠点でもいいと思います。顧客のニーズは、オンラインバンキング利用方法のコーチングであったり、資産形成の相談だったりと多岐にわたりるため、顧客のリクエストに即応できる仕組みを整えることがより重要になります。
◆IT系企業が既存の金融機関を脅かす
IT系企業が、オンライン決済サービスなどを展開し、これまで銀行が担っていた領域に進出しています。既存の金融機関にとって大きな脅威となっています。
大手IT企業は、米国の金融サービス業の収益1.35兆ドルのうち40%を既存銀行から奪うと予測されています。
特にApple、Google、Amazonによる侵食は特に顕著で、膨大かつ忠実なユーザー基盤を持つこれらの巨大企業は、既存の金融サービス事業者を脅かしつつあると言われています。
・Apple:収益力強化の手段として金融サービスにますます力を入れている。同社が培ってきたノウハウは既存の金融機関にとって大きな脅威となり得る。さらにアップルが消費者向けプロダクトの開発・販売で蓄積してきたノウハウは、「デビットカード」や「PFM(個人資産管理)アプリ」など、現存するサービスと連携して使えそうなツールにつながることが予想されている。
・Google:プラットフォームに依存しないアプローチ、国際的なネットワークなどを武器に、コンシューマー決済の分野にとどまらず、他の追随を許さないグローバルな経済圏を作ることも可能?
・Amazon:これまで進出してきたあらゆる分野で大きなシェアを獲得してきた。当座預金や普通預金などの口座サービスの提供、アマゾンペイの実店舗での利用、Amazon Go(アマゾンが運営するレジなし食料品店)で使われている決済技術のホワイトレーベル化、などなどさまざまな手段で存在感を強めていくことが予想される。金融分野に本格参入すれば、あっという間にシェアを獲得していくかもしれない。
またテック企業による金融サービスは、これから資産形成を意識する「Z世代(18~25歳)」にとって非常に魅力的に映っているようです。金融サービス業界向け調査を実施しているPhoenix Synergisticsの調査によると、「Z世代の90%は銀行以外の会社が提供する銀行口座を利用する意向があり、全体世代の平均でも53%の人が同様の意向を持っている」とのことです。
◆人工知能の導入による業務効率化が進む
今まで人力で行なっていた業務をAIやロボット(RPA)が担うようになってきています。例えば、ローンの借り入れ審査の際に、貸し出しができる対象かどうかの判断や、貸す場合には利率をどれくらいまでなら許容できるかなどの判断を、AIを使って行う銀行が登場しています。
→パンデミックでアメリカの銀行のIT支出は一旦大きく減少した後、プラスに転じる。コロナ危機がもたらした社会的、経済的変化によるニューノーマルの時代が訪れる。コロナ以前のペースと比較すると緩やかではあるものの、銀行のIT支出は伸長する、と予測されている。
2020年のIT支出額が大きい銀行は以下のとおり。
・ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo):96.1億ドル
・バンク・オブ・アメリカ(Bank of America):91.4億ドル
・JPモルガン・チェース(JP Morgan Chase):89.1億ドル
◆海外進出する企業が増加
昨今、海外企業の買収によってグローバルに事業展開する金融企業が増加しています。メガバンクだけにとどまらず生命保険会社、損保保険会社などが盛んに海外企業を買収しています。これに伴って、メガバンクの中には、新規雇用者のうち半分が外国人によって占められているところがでてきました。
ビジネスモデル
◆銀行
①金利収益:個人や企業から預金という形でお金を預り、集めたお金を個人や企業へ貸し出し、その際の貸し出し金利によって利益を得る。
②運用収益:個人や企業から集めた資金を使って、国債などの債権や株式を購入し、利益を生み出す。また、その利益の一部を預金者や投資家へ利息という形で還元する。
→「お金貸して色つけて返してもらう」or「自分で稼ぐ」ってことですね。意外と銀行の収益モデルって知られていないのではないでしょうか?
このモデルの特徴として…
- 「低金利」 → 貸出の儲けが減る → 減収
- 「不景気」 → 住宅や自動車のローン減少 → 減収
などが想定されます。(そりゃコロナは厳しい業績になりますよね…。)
2021.5.29 追記
※金融株が上がるのは『短期金利と長期金利の差が拡大する時』!!
銀行は預金金利と貸出金利の差で収益を上げるモデルなので、例えば短期金利が0.5%、長期金利が3%だとするとその差の一部が利鞘、つまり銀行の儲けとなる。
ここで注意しておきたいのは、
大規模緩和終了での金利上昇 = 短期金利 ↑(政策金利の引上げ)
であること。
銀行の儲けを決める「長期金利」はインフレ率に左右されるため、緩和が終わって政策金利が上がっても長期金利が上がるとは限りません。
FASなどの金融系ETFが上がる為には政策金利以上に長期金利が上がる必要があると思っているんですが、FRBは「インフレは一過性」と言っており、長期金利は本当に上がるのか不透明な状況が続いています。
(正直そこにかけるならもっといい投資先があると思うし、個人的にはFASの旬は終わったと思っているので、自分は見送りました。)
◆証券
①引受手数料収益:企業が上場したり新たな株式を発行したりする場合に、その株式を証券会社が引き受け、これを投資家に売る際に手数料で収益を得る。
②株式・投信・債権売買委託料収益:顧客である投資家から証券売買の注文を受け、株式や債券の売買を仲介して、この売買の委託料として収益を得る。
③トレーディング収益:証券会社が独自に持つ自己資金で、株式や債券の売買を行い収益を得ます。
④その他収益:株式口座管理手数料や投信代行手数料、M&Aや財務に関するコンサルティングによるコーポレートアドバイザリー手数料など。
※①の収益源として、「SPAC」が大きな要因となっている。
2020年の米株市場では、「ブランクチェック(白地小切手)会社」とも呼ばれる特別買収目的会社(SPAC)が新規株式公開(IPO)の主流に躍り出た。
2020年のSPACによるIIPO額は過去最高の780億ドル。これまでの全ての年の合計を上回り、IPO全体(1770億ドル)の約45%を占める。
(2021年1~3月のSPACによるIPO総額は計1000億ドルと、IPO全体の67%以上)
→ここを取れれば、売上を大きく伸ばすことができる?
デジタル金融(FinTech)
FinTech(フィンテック)とは?
※FinTech(フィンテック)
金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指す。
スマートフォンなどを使った送金もその一つ。例えば、資金の貸し手と借り手を直接つないだり、Eコマースと結びついた決済サービスを提供する企業があるほか、ベンチャー企業が決済などの金融サービスに参入する動きも増えています。フィンテック企業は、中小企業が金融機関から融資を受けることのハードルが高いなか、デジタル技術を駆使して中小企業のニーズに合う金融サービスを提供している。
例えば、アメリカとイギリスにおいて民間企業の99.9%が中小企業で、労働者の割合は、アメリカでは国全体の60%、イギリスでは48%を占めています。金融機関にとって中小企業は欠かすことのできない顧客ベースであるにもかかわらず、そのニーズに応えきれていません。
→この需給ギャップに着目したフィンテック企業が次々とマーケットに参入し、存在感を増している。既存の金融機関も独自のデジタルサービスで対抗しなければ、さらなるシェアをフィンテックに奪われる懸念があります。
→2018年にはフィンテックなどの新興勢力が115億ポンド(2.0%)に過ぎなかったものの、2021年までには526億ポンド(9.1%)まで増える見込みとなっているようです。
Fintechの現状
コロナパンデミックによるベンチャーキャピタルからの投資額の減少、金利の下落などのマイナス要因にもかかわらず、2020〜2024年の期間にデジタル銀行の口座保有者数はアメリカ(19.8%)、イギリス’(12.7%)、カナダ(9.8%)でそれぞれ増加する見込み。
ヨーロッパに比べ規制の多いアメリカでは、ネオバンクの発達が遅れていたが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、アメリカではモバイルバンキングの普及が拡大し、利用者にとってますます頼りにされるバンキング・チャンネルとなっています。
・2020年にモバイルバンキングの利用者数が初めてアメリカの人口の半分を超える(55.1%)と予測されている。
・「モバイルバンキング競争力比較調査」の対象者の79.5%が「メインで使っている銀行サービス」としてモバイルバンキングを挙げている(2020年)。
FinTechをざっと見
FinTechのメリット
非金融企業がフィンテックを取り入れるメリットはいくつか存在します。
◆手数料収入が得られる
◆他社との連携により、サービス向上に役立つ知見を得られる
◆顧客のリテンション率向上(一般企業が顧客にお得な決済手段、あるいは積立投資などを提供すると、他社サービスに移りにくくなる)
◆提携先とのデータ共有も可能になり、自社のデータを活用して精度の高い金融商品を提供できる(パーソナライズされた金融サービスを提供)
◆他社のサービスを借り受けて自社顧客に提供する方がトータルで見るとコスト効果が高まる
そんなメリットもあって2020年はBaaSが大きく普及し、ネオバンクの数はさらに増え、さまざまなバックグラウンドを持つ企業が次々とBaaS基盤の提供をはじめています。
最も注目されたのは、グーグルのネオバンク参入のニュースです。
※ネオバンク:
銀行API(Application Programming Interface)をSaaS形式で提供する「BaaS(Bankung as a Service)」を活用して銀行のようなサービスを提供する金融業態のこと。
Google社の“Plex Account”は、顧客のフロントUIを担い、裏では銀行と連携して口座開設からデポジットまで一貫したサービスを提供します。
※利用者が複数の金融機関の中からニーズに応じて選択できる「マルチ・ネオバンク」として先進的な事例といえます。
米国の銀行業界では、これまで巨大プラットフォーマーの銀行業の参入を業界圧迫の脅威として捉える意見も多かった中、
「Google PayはCitibankにとって、金融のエコシステムの構築における重要なパートナーとなる」(Citibankのエリス・レスリー氏)
「米国の地域金融における最大の課題は、古くなりつつある金融業のテクノロジーを更新することである」(Seatlle Bankのジョン・ブリザード氏)
など、業界の変革の為に必要な動きと捉える意見もあります。
Embedded finance(埋込型金融)
※Embedded finance(埋込型金融):
非金融機関が自社サービス内でユーザーに金融商品・サービスを提供すること。
見方を変えると、金融機関が一般企業(非金融機関)を介して金融商品やサービスを流通させることをいう。 ※別名:Modular finance(モジュール型金融)
金融の機能化がさらに進み、必要なテクノロジーを体系化し、すぐに使えるようなものになっていく、という考え方です。2021年以降は、モジュール型金融とその利用がますます進むことになりそうですね。
例)Eコマースサイトを運営する企業が、”「後払い機能」と「買い物カゴの決済時にお釣り投資を行う機能」を付加する”というアイデアを思いついたとします。この時、2つの金融モジュールのコードを数行埋め込んで最小限のUI変更で金融機能を実装できれば、低コスト・短納期で金融サービスを提供できます。
→本質としては「思いついたらすぐ実装」というテック業界の様式美が金融サービスにも持ち込まれていく、ということです。
アジア:
「アリペイ(アリババ)」や「WeChat」、シンガポールの「グラブ」など、元々ECや配車アプリなど別分野だった企業が、決済・与信機能・資産運用などの様々な金融サービスを組み込んで提供しています。
欧米:
EC構築・運営支援の「Shopify」が、フィンテックスタートアップの「Stripe」の「Stripe Treasury」を使って、EC出店事業者に対してショッピファイ内での専用銀行口座を開けるようにし、売上金の入金、経費支払、口座間の送金などの金融機能を提供しています。
世界の埋込型金融企業の時価総額の合計:他業種からの参入も含めると7.2兆ドルに達する見込み(2030年)。
アメリカの埋込型金融市場:2025年には922%増の2300億ドルに迫る。(2020年の年間収益は225億ドルだったが)
→その中でも「保険」「決済」分野の伸びが期待されている。
業界・消費者動向やマクロ経済などさまざまな要因が絡み合い、今後10年の間にヨーロッパやイギリス、アメリカで、埋込型金融は勢いを増していくことが予想されているようです。
「お金の管理」に関して消費者はIT大手をますます信頼するようになっており、金融分野におけるIT大手の存在感が高まっている。そのため今後、埋込型金融はメインストリームになっていくことが期待されています。
またテック企業は複数の銀行と提携しますが、銀行も複数のテック企業と提携していくため、提携関係は複雑になりそうです。その中でも、テクノロジーに力を入れモジュール化を推し進める銀行が有利に提携を進め、商品の販路を大きく拡大することとなるでしょう。さらに銀行にモジュール型金融のインフラを提供するフィンテック、またモジュール型金融のマーケットプレースを運営するフィンテックなど、この市場を形成する多様なプレーヤーが増えていくことも予想されます。
金融企業をざっと見しよう
S&P 500 Bank Index($S5BANKX)
各企業を見ていく前に、金融セグメント全体の業績の動きを見ていきます。今回指標に用いたのは、「S&P500銀行株指数(S&P 500 Bank Index、$S5BANKX)」です。コロナ前から見ておきたかったので、直近5年間の推移を見てみましょう。
◆2021Q1決算、銀行は全般強く大幅ビート!
→ただし倒産が少ないことにより積み上げた引当金を戻してる一時要因が大きいようで、本質的には予想と同じくらいか?株価も反応はあまりしていない様子。
◆JPMが過去最高益であっても株価は十分には上がらず。(大手米銀株は既大きく上昇しているためか)
(参考)年初来の騰落率は、JPM:△約20%、WFC:約40%、GS:△約28%
それでは金融企業をいくつかピックアップしてみていきます。
The Goldman Sachs Group, Inc.($GS)
◆銀行持株会社。グローバルな投資銀行業務のほか、投資銀行、取引およびプリンシパル・インベストメント、資産運用、証券サービスなどの証券業務を提供。
◆企業、金融機 関、政府、富裕層の個人に対しサービスを提供。
2021Q1
☑ Revenue:$17.7 billion(+102.5%, YoY)◎ ← vs $12.61 billion
☑ Net income:$6.84 billion
-Net credit benefit:$0.07 billion
☑ EPS:$18.60(+15.48$, YoY)◎ ←vs $10.22
→全分野での増収となり、EPS($18.60)、ROE(31.0%)は過去最高に。売上高もYoY+102%と大幅に増加。
COVID-19パンデミックの影響で2020年第1四半期に始まった厳しい状況から、経済状況の改善が見られており、引当金の削減となった。
株価
→予想を大きくビートし、株価もコロナ前の水準を大きく超えてきています。ただしYoY+100%の好決算を出している割には株価への反応は弱いように感じました。
Bank of America($BAC)
◆金融持株会社。普通預金口 座、預金業務、住宅・建設ローン、現金および資産管理、預金証書、投資信託、クレジットカード、デビットカード、保険、モバイルおよびオンラインバンキングサービスを提供する。
◆消費者金融では業界最大手。
◆「Cash App」など、デジタル化にも注力している。
2021Q1
☑ Revenue:$22.82 billion(+0.2%, YoY)◎ ← vs $21.86 billion
☑ Prevision Benefit:$1.9 billion
-Net charge-off:$0.8 billion
-Net reserve releases:$2.7 billion
☑ EPS:$0.86(+$0.12, YoY)◎ ←vs $0.65
→想定よりも経済見通しの改善が見られたためなのか、27億ドルの貸倒引当金を反映出来たため、好決算になった格好か。
※貸倒償却・貸倒損失・貸倒金(charge-off):
貸付金や受取手形、売掛金など、受取債券の中で回収不能な金額を損失として計上する。貸倒引当金を設定している場合には、それを崩して処理する。
※貸倒引当金(reserve release):
売上債権や金銭債権などの金融債権のうち、将来的に回収が困難だと思われる金額を見積もって計上する。
株価
→今年に入り、金利上昇の恩恵を受けて株価を伸ばし、コロナ前の高値を更新しています。今回のような業績が維持できれば今後の伸びも期待できますが、いかんせんコロナ収束が見えないので金利的には厳しそうです。
JPMorgan Chase & Co.($JPM)
◆国際的金融サービスおよびリテール銀行。
投資銀行業務、トレジャリー サービス、証券サービス、資産管理、プライベートバンキング、カード会員サービス、商業銀行業務、住宅金融などのサービスを提供。
2021Q1
☑ Revenue:$33.1 billion(+807%, YoY)◎ ← vs $30.52 billion
☑ Net income:$14.3 billion(+25.4%, YoY)
-Net charge-off:$1.1 billion
-Net reserve releases:$2.9 billion
☑ EPS:$4.50(+$0.78, YoY)◎ ←vs $3.10
→Revenueの伸びがすごい。と思ったが、コロナのタイミングだったので、YoYの伸びが大きくなるのは当然か。来期あたりまではYoYの高い数値となるような気がする。
全般的に貸倒損失が少なく(むしろ収益になってた?)、それが純利益にもつながっている様子。この状況は長く続くものなのかな?
株価
→今年の始め頃から株価を上げてきており、年初来高値を更新し続けています。決算前の方がこの決算よりも良かったのでは…?
Citigroup Inc.($C)
◆総合金融サービス持株会社であり、消費者・法人顧客に多様な金融サービスを提供する。(投資銀行、個人向け証券仲介、法人向け銀行、資金管理など)
◆欧州・中東・アフリカ(EMEA)へのリソースの集中と撤退
◆特別買収目的会社(SPAC)の新規株式公開(IPO)関連業務でのリーダー。
→2021年Q1の株式引受手数料は8億7600万ドルと約4倍に増えた。
2021Q1
☑ Revenue:$19.33 billion(▼7%, YoY)◎ ← vs $30.52 billion
☑ Net income:$7.94 billion(+213%, YoY)◎ ← vs $5.0 billion
-Net charge-off:$1.1 billion
-Net reserve releases:$5.2 billion
☑ EPS:$4.50(+, YoY)◎ ←vs $3.10
→売上は193億3000万ドルに減少。個人向け銀行業務の減収(▼14%)が響いた。
SPACによって株式引受手数料による収益は8億7600万ドル。
株式トレーディング収入も好調で約$1.48 billionに(Q平均:約$1 billion)
株価
→コロナのあとにも2番底があり、今年に入って本格的に金利が上昇している中でもコロナ前の最高値を超えられていない。他行に比べるとYoYでの売上成長率がやや弱く、資金が流入しなかったためか。
SPACによる業績向上も大きかったため、一時的な収益増として捉えられた可能性も。2021年のSPAC動向によっては、経済回復が進む一方でQoQでの収益悪化も考えられるかもしれない。
Wells Fargo & Company($WFC)
◆個人融資に強い総合金融サービス会社。
銀行、保険、 投資、住宅ローン、リース、クレジットカード、消費者金融などを手掛ける。
◆米国内支店数No.1。
◆住宅ローンに強みがある。(今後の住宅需要に引っ張られて業績上ブレの可能性も!)
2021Q1
☑ Revenue:$18.06 billion(+1.9%, YoY)◎ ← vs $17.66 billion
☑ Net income:$4.7 billion(+626%, YoY)
-Net charge-off:$0.5 billion
-Net reserve releases:$1.6 billion
☑ EPS:$1.05(+1.04, YoY)◎ ←vs $0.77
→コロナ収束に向けた経済回復が引当金を削減につながっており、収益を大きく引き上げている形に。(他行も同様の収益の様子。)
株価
→他行と異なり、2020年の後半まで回復の様子は見えず、また年始に入って大きく回復してきてはいるものの、コロナ前の水準は超えられていない。(他行と業績の点で異なることがある可能性が高い。)
企業比較コーナー
株価パフォーマンス
まずは5年間のパフォーマンスを見てみましょう。
・銀行業界はコロナ前後である程度同じ動きをしている。
→企業間で差をつけにくい業界の可能性がある。
・株価の回復も同じタイミングで生じているものの、WFCは大きく出遅れている。
事業ポートフォリオ
事業ポートフォリオによって売上や業績の伸びも大きく変わってくるので、合わせて見てみます。
・JPMとWFCはポートフォリオが似ているものの、売上成長率は異なる。
・BACは投資銀行事業を持たない。
・逆にGSは銀行業をほとんど持たない。
などがわかります。
今後のニュースなどでも、事業ポートフォリによる売上貢献なども調べていこうと思います。
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
- 銀行はコロナで業績を落としたものの、直近の経済回復・金利上昇によって業績が上向いている!
- ただし前年比はちょうどコロナショックのため参考にならない、来期Q2も同様か。
- デジタル化が本格的に始まっている業界。この潮流においてかれると売上やシェアを大きく失う可能性も。
- 銀行の中でも明暗は分かれている様子。株価の上昇は限定的か。
以上です!
シクリカル銘柄の分析ってあんまり気が進まなかったんですけど、やってみたら意外とドハマりしますよ。ぜひやってみてください。^^
それではまた。