【業界ざっと見!】~海運コンテナ編~【ZATTOMee!】
どうも。(。・ω・。)
ひーくんです。
ここ数日、金利上昇によるものか、
ハイテク銘柄を中心に株価が大きく下落しています。
特にコロナ以降大きく株価を伸ばしていた
ナスダック(IXIC)の下落がきついですね。
2月下旬辺りから10%ほど下落しています。^^;
※ナスダックは中小型の株が大きく、特にハイテク中小型銘柄は金利の影響を大きく受けやすいと言われているので、顕著に下げたんだと思います。
自分の保有している銘柄もハイテクが多く、絶賛大ダメージ受けております。
そんな中、コロナの影響で大きく業績を伸ばしたうえに、直近でも株価を伸ばしているセクターを探していたところ、「海運・コンテナ」業界が面白そうだと思ったのでまとめてみました。
それでは業界ざっと見シリーズ第5弾~海運業界編~、さっそく始めていきましょう!
どんな業界なの?
ざっと言うと、「船舶」「コンテナ」などが関連しています。
国際輸送の主な手段として用いられており、国際マーケットを有する小売企業にとっては重要な業界です。特に島国の日本では、海外との国際物流に占める海運のシェアは重量ベースで実に99.5%(!)と圧倒的です。
また世界の海上貨物輸送量は、増加の一路をたどっており、30年間で約3倍に膨れ上がっています。(39億トン → 118億トン)
→人口増加、経済成長、自由貿易拡大などに起因すると考えられます。
〈特徴〉
■世界経済の影響を受けやすい(景気敏感銘柄の色合いを持っていると思います)
→好況時には大きく業績を伸ばせますが、不況時には大きく業績が落ちる傾向があります。(株価も同様です)
■需給ギャップが埋まりにくい
→ロジスティクス(物流)が何かしらの混乱をきたし、海運などの輸送関連の需要が逼迫しても、なかなか解消されない。逼迫状況が継続するため、業績のうわブレも続きやすいと考えられるか。(これは過剰な状態も一緒。波がはっきりしている上に長い)
■原油価格や為替で収益構造が変化する
などがぱっと思いつきますかね。
〈現状〉
(2021.3.28 追記)
コンテナ船「エバーギブン」がスエズ運河で座礁しており、運行不可となっています。
停泊している船舶たちは、開通しないようであればアフリカ大陸をぐるっと回る「希望峰ルート」を通らなければならない。
→運行日数増加 + 運賃上昇のダブルパンチ!
コンテナ船、バルク船オーナー企業には追い風になるかも?
※タンカーはどうなるかは読みにくい感じがしました。余談ですが、挫傷が解消されるかも、というニュースを受けて、原油価格は下落しています。(需給ギャップ解消をみてかしら)
コロナ禍によって、物流に混乱が生じ、コンテナの不足が目立つようになっています。
またコロナの詳しい現状についてはこちらの記事を参考にしました。
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・COVID-19パンデミックが商品の輸送コストを押し上げている。
・ステイホームによって中国の工場への注文が急増。
→海運の需要はアジアのコンテナの可用性を上回っており、箱が米国の港で積み重なるのと同じように、不足をもたらしている。
- エクササイズバイクや電子機器などの輸入品を満載したコンテナ船が2週間もの間、アイドリングストップ状態が続いている。
- 農家がアジアのバイヤーに大豆を出荷するのに苦労している。
- 中国では北米向けの家具が工場の床に積まれている。
- 何百万ものマスクを運んだコンテナは、北米と欧州、アジアを結ぶルートに集中しているため、回収されずにそこに残っています。
・荷揚げのために貨物を積んだ船が寄港する港では、浮遊交通渋滞で何日も立ち往生している。
→港湾労働者やトラック運転手の稼働率が制限され、貨物の取り扱いに遅れが生じている。
コンテナの取引量を見てみると、2020年はコロナの影響による混乱もあってリーマンショック以来の減少となっていますが、2021年以降は回復が期待されているようです。また依然として引き合いは強い状況が続いています。
→需要はあるが、供給が追いつけていない状況が伺えます。
また少し前の記事ですが、
現状をよく表していると思いましたのでこちらも紹介します。
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☑ 米国株市場ではワクチン開発期待を背景に、景気敏感株への物色ニーズが旺盛だが、グローバル景気に左右されやすい海運セクターは見直し人気に乗りやすい
☑ バイデン新政権に移行した場合、米中摩擦は緩和の方向となる可能性が高い
→ばら積み船市況など中国経済と連動性の高い海運セクターにとっては追い風?
☑ 業種別値上がり率で一時5%を超え、東証1部33業種中で断トツ
☑ 日本企業の大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)に買い
→低PBR銘柄が多いこともバリュー株シフトの側面で有利?
コロナによる上記のような混乱に加えて、「SOX規制」という海運業界にとって重要な規制が2020年に施行されました。(まあなんとタイミングの悪いこと…。)
※SOX規制
船舶の燃料油の硫黄分許容限度を3.5% m/m → 0.5% m/mに強化。
→対応策としては、①適合燃料への切り替えまたは②追加設備投資。
(いずれも海運事業者にとってはコストアップになるので運航停止・廃船の流れを促進した?)
これらの情報を見るに、
「ワクチンによるコロナ収束、景気回復が市場で意識されている昨今の状況を鑑みると、投資するのに有望なセクターなのではないか?」と考えています。
それでは、海運業界がどういう状況にあるのかを
詳しく見ていきましょう。^^
業界の近況
まずは「ばら積み船」の近況から見ていきましょう。
※「ばら積み船」
鉄鉱石、石炭、穀物、塩、アルミ塊、銅鉱石などさまざまな資源を、梱包せずに大量にそのまま輸送する。
大量・ばら積み貨物=バルク、乾貨物=ドライカーゴといった言葉から、「バルカー」「ドライバルク船」とも呼ばれる。
「ばら積み船」にはさまざまなサイズがあり、運ぶ貨物の量や、寄港地の規模にあわせて利用されている。
参照:(商船三井:暮らしを支える いろいろな船)
バラ積み船の需要は?
◆2020年 貿易量合計:▲2.1% in tons / △0.1% in tonmiles
→COVID-19による影響は、石炭や小口貨物が最も大きかった。
◆中国が回復の先頭に立っている。
(鉄鉱石、穀物の輸入が過去最高を記録)
◆2020年 貿易量合計(予測):△3.7% in tonmiles
COVID-19のワクチン接種による景気回復
建設セクターに焦点を当てた世界的な景気刺激策
〈主要貨物の内訳〉
○ 鉄鉱石:2020年に△4.8%増、2021年は△2.0%と予測。
→中国の鉄鋼生産が過去最高水準。その他の地域の生産量はYoYで▲8.4%。鉄鉱石価格が輸出の伸びを支える。
・中国の鉄鉱石輸入がドライバルク市況を大きく左右している。
・今年の中国の鉄鉱石輸入量は記録的になると予測。
・但し、長期的には環境対応のため電炉シェアが増え、鉄鉱石輸入量は減少する可能性も。
○ 石炭:2020年に▲9.7%、2021年は△5.6%と予測。
→①COVID-19の流行、②中国 - オーストラリア間の貿易摩擦、③コロンビアの供給ストップなどが要因か。今年はラ・ニーナ現象の影響で平均気温よりも寒く、石炭消費量は増加している。
○ 穀物:2020年は△10.1%、2021年は△1.4%と予測。
→ブラジルの大豆輸出量が過去最高を更新。米国産大豆・トウモロコシ輸出は回復基調か。
○ マイナーバルク:2020年は▲1.5%、2021年は△4.8%と予測。
→ケープサイズのトンマイルを支える西アフリカから中国へのボーキサイト輸出。
【総論】
2021~22年には世界的な景気刺激のポジティブな効果が期待できる
(参照:SBLKのpresentation)https://www.starbulk.com/media/uploads_file/2021/03/01/p1evn8vfmd15idptd1pfl6ci18d74.pdf
これは、次に説明する「バルチック海運指数(BDI)」のグラフです。
最高値ではないものの、コロナ前よりも高水準で推移していることがわかります。
その他には、「タンカー」「コンテナ船」があり、「バルク」を含めて主要3船種とされています。^^
バルチック海運指数
次に、海運業界の指数として用いられている「バルチック海運指数(BDI)」を示します。この指数はあくまで「バルク船の運賃のみ」を指数化したものであり、海運全体の市況を表したものでないということは最大限の注意が必要です。
※バルチック海運指数
海運会社やブローカーなどから鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を聞き取り、結果を取りまとめて同指数を算出する。(1985年のマーケットを1000として算定)
同指数は以下の3要素から成り立つ。
コロナショック以降、大きく上昇し、高値圏で推移しています。しかも株価が下落基調に入った3月以降でも堅調に推移しています。
(今週だけで約9%上昇しました)
(2021.3.6の数値)
◆BDIY:1,829(△50pt, 2.8%)
→1月21日以来の最高値を記録。
◆ケープサイズ指数:1,784(△111pt, 6.6%)
→2月18日以来の高水準となった。今週で24%近く上昇。
◆パナマックス指数:2,241(△29pt, 1.3%)
→今週の指数は4.7%上昇。
◆スーパーマックス指数:1,917(△17pt, 0.9%)
→過去最高水準まで上昇。4週連続で上昇中。
(2021.3.16)
バルチック海運指数は続伸、2,000の大台突破。
運送費用
また運送費用はコロナショック以降、上昇し続けており、輸送機能の需要逼迫が伺えます。
特に上昇率で見ると、欧州方面への運賃の値上がりがきついですね。
さらには、こんなニュースも。
・MaerskはV Ships Hamburgが所有する4,600TEUのクラシックパナマックス3隻を$ 35,000/日でチャーターすることを決定。チャーターの最高値を更新。
→2005年1月以来の高値更新。
※後述するDACの決算資料では同サイズの傭船料は$21,000〜30,000/日。
・最新のコンテナ船定期傭船評価指数(ConTex)によると、4,250TEU船の定期傭船料は前年同期比で約150%上昇。
・「コンテナ船の傭船料は、供給が逼迫し、短期的には弱まることのない強い需要に直面している傭船市場において、限界に達している。」との声も。
→ここ数ヶ月、全てのサイズの箱船の傭船料が高騰。
→コンテナ船オーナー企業のFY2021の業績上振れは間違いなさそうです。^^
これらの状況を鑑みるに、
納品が間に合っていないだけでなく、
小売企業などでは支出が増大し、利益を圧迫する状況が続いています。
World Container Index (WCI)
さらに、「World Container Index (WCI)」も高水準で推移しています。
直近ではやや下がり気味ではあるものの、前年比(YoY)232.6%という高い水準を維持しています。
※「World Container Index (WCI)」
コンテナ運賃、価格見積もりおよび過去の価格の動きを示す。
コンテナ船の海上貨物市場に関わる全ての組織にとって、またはコンテナ船の海上貨物市場に露出している全ての組織にとって不可欠なリソース。
◆40ftコンテナあたり5,231ドル。
→5年間の平均は、40ftコンテナあたり1,692ドルなので
過去平均の3倍近くまで上昇している計算になる。
コンテナの需要も逼迫しているため、
「供給 減少 → 需要 増加 →価格 上昇↑↑」
という構図となりコンテナ価格が急上昇している。
その他気になるニュース
コロナの影響で、世界各国でコンテナ不足が深刻化しています。
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☑ 2021年2月のフレイトス・バルチック・グローバル・コンテナ・インデックス(FBX)は4,295ドル/FEUとなり、最高値を更新。(YoY△223%)
☑ 2月の米国輸入コンテナ量は1月に比べて減少したと推定されているが、依然としてピーク時の水準にあることから、海上貨物の需要が大幅に緩和されたわけではない。
☑ 持続的な急増は、消費者がサービスではなく商品に支出していることや、小売業者が在庫レベルを押し上げようしていることに起因している。
→ロサンゼルスやロングビーチなど主要港湾での混雑・遅延の緩和は不可能。
☑ 中国の旧正月の前には、製造業の多くが休業するため需要が季節的に上昇するが、休暇後の数週間で在庫が解消されると徐々に低下していく。
→しかし今年は需要が途切れることがなく、多くの中国工場が渡航制限のために営業を続けていたため、米国行きのスポットレートは1ヶ月を通して上昇し続けた。
☑ 港湾の混雑が遅延を引き起こし、船腹を制限していることや、外航船のオーバーブッキングの報告が続いている。
→少なくとも第2四半期あたりまでは、コンテナ不足とバックログが緩和されるとは考えにくい?
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☑ 新型コロナウイルス流行によって、貨物需要の増加や運送業界の人手不足が思わぬ問題を引き起こしている。大量の輸送用コンテナが世界各地に滞留し、中国の海運業界が深刻なコンテナ不足に直面している。
☑ 上海港の40フィートコンテナの「可用性インデックス(CAx)」は0.05まで低下。過去2年間の最低記録を更新した。
☑ なお、新型コロナの流行が始まった直後の2020年2月上旬時点では、上海港のCAxは最高で0.66とコンテナは余っていた。
※「可用性インデックス(CAx)」
コンテナの空き具合を指数化したもの。
- CAx>0.5 → コンテナが過剰である
- CAx>0.5 → コンテナが不足している
→海運会社がコンテナを奪い合っており、輸出企業は商品を期限までに輸送するため、コンテナ1本当たり600元(約9492円)の追加料金を喜んで支払っている状況。
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☑ 商品在庫補充の需要に加え、通常は旅客便を使って商品を空輸する企業が減便によりコンテナ船の利用を増やしていることが運賃の上昇につながっている。
☑ コロナ対策のロックダウンによる物流の混乱でコンテナの世界での分布が不均等になっている。
☑ コンテナ船運賃は今年いっぱい高止まりすると見込まれていたが、主要経済国でのコロナを巡る状況の変化で2021年に入っても高水準で推移している。
→コロナ感染状況が悪化し、ロックダウンが強化され、景気の落ち込みが深刻になれば、消費者は支出を削減してコンテナ輸送の需要が減る?
逆に言うと、
「コロナが収束に向かう限りこの流れは簡単には収束せず、コンテナ不足は継続するのでは?」という仮説を立てています。
またこちらの記事でも、ノーチラス(NLS)やPeloton(PTON)が輸送関連に悩まされている現状もまとめていますので参考にしてみてください。
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hideson-gifufufu.hatenablog.com
まとめると、
- コンテナ不足は世界中で深刻であり、解決にはまだまだ時間がかかりそう
- その代わり強い需要が継続する可能性が高い。
ということになりそうですね。
さて、2月下旬から先週までの株価の調整が一息つきましたが(個人的にはそう信じていますが…)、海運輸送業界各社の業績はどうなのでしょうか。
海運輸送企業を見てみる!
僕が昨年からバリュー銘柄とかシクリカル銘柄とかに投資したことがなかったので、海運業界とか見たこともありません。
とりあえず、DACのプレゼン資料に業界シェアがありましたので参考にしてみます。
...本当にひとつも知らないですね…。^^;
そんなヤツが書いたんだと思ってみてやってください。
Danaos Corporation(ダナオス、$DAC)
企業概要
◆コンテナ船を所有する船舶系大手。輸送会社に船舶を貸与するオーナー企業。
◆長距離コンテナ貿易量の60%を占める。
◆世界有数の定期船会社との長期定期船契約を結んでいる。
◆マネジメントプラクティス・パフォーマンスと安全・品質パフォーマンス
→ほぼ全ての指標において、Danaosはベンチマーク平均を上回る。
ビジネスモデル
・船舶をチャーターして収益を上げる。
これを見ると、5x, 12x, 9xの順で売上に占める割合が大きく、この3つで8割近くを占めています。
→これらのチャーター稼働率などが業績に大きく寄与している?
・WAVESデータ分析プラットフォームを開発
→船舶で生成されたデータを活用。効果的な船舶管理システムを導入することで、これらのコストの管理が容易になるため、優れた船舶管理ソフトや乗組員管理ソフトが重要な要素となります。
顧客
☑ 総契約営業収入:$1.2 billion
☑ チャーターは最大で2028年まで延長されており、残りの契約チャーター期間は平均で3.1年残っている。
☑ 今後12ヶ月間のチャーターカバレッジは94%!
→稼働率は比較的高い?
→様々なサイズの船舶のチャーター期間が延長されているようです。
継続的な収入?一括での収入となるのか?
→3社で6割を占めるポートフォリオとなっている。
・CMA CGM:フランスを本拠とする世界有数の海運会社・コンテナ輸送会社。
170の定期コンテナ航路で世界150カ国の400の港湾を結び、マースクライン、MSCに次ぐ世界第3位のコンテナ物流企業である。
・MSC:スイスのジュネーヴに拠点を置く世界有数の海運会社。
472隻のコンテナ船を運用し、その積載能力は2,362,854TEUに達している。コンテナ船の船腹面積では、マースクラインに次ぐ第二位を誇る。
・HMM:韓国の大手海運会社。
財務分析
〈業績〉FY2020
☑ Operating revenues:$461.6 million (△3.2%, YoY)
☑ Net income:$47.8 million(△25.8%, YoY)
☑ EPS:$2.29
☑ CFが強い。特にここ5年でレバレッジが大きく減少しているのは良い。
(2016:x7.0 → 2020:x4.5)
〈株価〉
株価指数に大きな調整があった2月~3月も株価を落とすことなく上昇を続けている。
→バリュー株、かつ強い引き合いが要因か。
ニュースとか
随時更新していきます。^^
所感
DAC、いいですね。
Revenueに大きな伸びはないものの、IncomeがYoYで伸び続けているのはいい傾向だと思います。
ただし、コロナ特需が数字(特にRevenue)に出ないということは、収益性はまだしも、売上としては頭打ちなのでしょうか?・_・
Star Bulk Carriers Corp(スターバルクキャリアーズ、$SBLK)
会社概要
◆米国最大のドライバルク海運会社。バラ積み船を所有・運営する。
鉄鉱石や石炭、穀物などを運搬する大型バルク用船舶と、ボーキサイトやリン酸塩、鉄鋼製品などを運搬する小型バルク用船舶を運航している。
→特に大型船(Newcastlemax、Capesize、Kamsarmax)に強み。
◆自社グループでバルク船を保有し、且つオペレーションも自社でやっている。(
バルク船オペレーターかつバルク船オーナー)
ビジネスモデル
〈バラ積み船の現状〉
◆ドライバルクのNET船隊増加率は2020年に+3.7%になる。
(2019年は+4.0%だったので、ほぼ横ばいでの推移)
◆輸送量:48.8 mil.dwt(△17.3%, YoY)
◆解体量:15.4 mil.dwt (△119.0%, YoY)
◆契約数:14.7 mil.dwt (▲55.1%, YoY)
→さらなる契約数の減少、納期の遅れ、解体工事の増加を予想している。
◆「船舶運行費(OPEX)」は業界平均よりも低値で推移している
→船舶運航費(OPEX):船舶やその他の資産を運航するための費用。
航海のために船をチャーターする場合の燃料費や、定期的なメンテナンス費用。
→特にメンテナンス費用は船齢に直接依存しており、古い船の場合には総支出に大きな影響をもたらす。
財務分析
〈業績〉2020Q4
☑ Revenue:$186.0 million (▲25.0%, YoY)
☑ Net income:$27.8 million(△18.3%, YoY)
☑ EPS:$0.29(△18.3%, YoY)
Revenue減少しても、利益伸ばせるってことは、粗利が改善しているようです。
→運行費などの上昇に起因するのか…?
※Time Charter(TC):
オーナーがオペレーターに船を貸し出す場合に結ぶ傭船契約のこと。期間は一般的に短くて2年、長いと10年を超える。
→長期契約になればなるほど実勢レートから割り引いた金額になるが、オーナーにとっては長期的なキャッシュフローを確保できる。船は小型のコンテナ船でも100億円はかかり、大型になると数百億円と異常に高価なため、オーナーはTCによって収入を確立する。
FY2020
☑ 運賃および燃料スプレッド上昇によるEBITDAの追加発生
〈株価〉
株価指数に大きな調整があった2月~3月も株価を落とすことなく上昇を続けている。
→バリュー株、かつ強い引き合いが要因か。
ニュースとか
随時更新していきます。^^
所感
引き合いの強いバラ積み船に注力しているものの、需要と比べて思ったより売上が伸びていない印象を受けます。
またBDIの動きの通り、そもそも2020年に運賃が吹いた後はじり下げとなっているので、業績が大きく改善しないのでは、なども言われていますね。
今後も強い引き合いが続けば売上の伸びは期待できるかもしれませんが、やや不安の残るQ4決算だったように思います。
来期Q1を見て、投資判断すべきかな、と。
Performance Shipping(パフォーマンスシッピング、$PSHG)
企業概要
◆コンテナ船、特にタンカー船の保有に特化した世界的な海運会社。
スポット市場や短期・長期契約でコンテナ船チャーターサービスを提供する。
〈タンカー市場〉
・船隊供給量:6億4,100万dwt(QoQ:△0.3%、YoY:△3.0%)
・需要:QoQで△2.0%、YoYで△12.5%
・原油タンカーの船隊稼働率は79.6%(QoQ:▲4.9pt、YoY:▲9.7pt)
・オーダーブックは船隊全体の7.7%まで減少。(1996年以来の最低水準)
・世界の石油消費量:は9,550万b/d(QoQ:△2.3%、YoY:▲6.1%)
・世界の石油生産量:9,230万b/d(QoQ:△1.2%、YoY:▲9.1%)
財務分析
〈業績〉2020Q4
☑ Revenue(Voyage and time charter):$7.2 million (▲32.1%, YoY)
☑ Net Loss:$2.5 million(2019:$12.2 million)
☑ EPS:- $0.51(2019:- $3.17)
〈株価〉
→他の2社に比べて業績が伸び悩んでいます。株価もコロナショック前に近い水準まで下がってきています。コロナショックで石油需要、供給が崩れたのも起因したんでしょうか。
所感
たまたま決算記事を見かけたのでピックアップ。石油タンカー業界は厳しいようですね…。単純に「海運」だけでは選んではいけないということです。
コロナショックから株価は高値で2倍にもなっているようですが、今後の需要が伸び続けるかというと、すぐに"はい"とは言えない印象です。
まとめ
それでは今回の記事をまとめます!
- コンテナ、船舶不足は世界中で深刻であり、解決にはまだまだ時間がかかりそう
- その代わり強い需要が継続する可能性が高い。
- 企業の業績を見ても、2021年も好業績が期待できそう。
- 大きな成長は期待できない業界。あくまで景気敏感銘柄の位置づけ。
以上です!
気になる銘柄があれば随時追加していきます。
また今回の記事執筆に当たり、このサイトを参考にしました。
今後もフォローしていくのであれば、見ておいて損はないと思います。^^
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それではまた。