【書籍】『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
早速見ていきましょう!
どんな内容の本?
この本は、障害者、特に視覚障害者と健常者の違いを、
実際に視覚障害者との談話で得られた情報をもとに執筆されています。
見えない人がどうやって世界を見ているのか、
またどのように考えているのか?
などをユーモアを交えて軽快に書いてくれています。
視覚障害者の考えや、日常生活など、
TVで取り上げられるような内容とは一線を画した臨場感のある物語です。
ただし、単なるドキュメンタリーではなく、
視覚障害者が持つ「想像力」を主題に添えており、
運動や感覚などをどのように「補いながら」実践しているのかも
バッチリ伝えてくれる本です。
著者の伊藤さんは、生物学者を志していたこともあり、
自分ではない何かに「変身」したい願望があるそうです。笑
もうこんな人が書いているだけで面白いに決まってるじゃないですか…。^^
頭がいい人の文章は読みやすい!
僕がこの本を読んでみて感じたことですが、、、
たぶん著者はめちゃめちゃ頭がいい。
元々生物学者を目指していたこともあるんでしょうが、
文章から頭の良さが伝わってきます。
とにかく文章が平易でテンポよく読めちゃいます。
自分はじっくり読もうとすると、
1冊読み終えるのに結構時間がかかってしますのですが、
この本は数日で読みきれてしまいました。
「視覚障害者には死角がないんです」
とか、なんて素敵な文句でしょう。
比喩表現が秀逸。分かりやすさにびっくり。
あとは、比喩表現が印象的でした。
職場の後輩も、興味があったようで貸してみたんですが、
「ひーくんさん、この著者すごいですね。比喩表現がめちゃめちゃ面白いです」
と絶賛していました。:)
中でも、僕が気に入っている表現は、
第一章で、視覚障害とは、どういう状態なのか、という問いに対し、
著者は「健常者から視覚がなくなった状態ではなく、視覚抜きで成立している状態」
だと伝える際の表現です。
「」の部分は、すでに僕では到底行き着かないような考え方となっていますが、
この難解な考えを、著者は次のように書かれていました。
健常者と視覚障害者の違いは、4本脚の椅子と3本脚の椅子のようなもの。もともと脚が4本ある椅子から1本とってしまったら、その椅子は傾いてしまいます。壊れた、不完全な椅子です。でも、そもそも3本の脚で立っている椅子もある。脚の配置を変えれば、3本でも立てるのです。
いかがでしょうか?
初めて読んでもすっと腹に落ちる、素晴らしい表現だったと思います。
こんな調子でわかりやすく、書かれている文章なので、
健常者、視覚障害者などの枠組みを超えて、いろいろと考えさせられます。
視覚障害者との向き合い方を考え直す
この本を読んで、
自分は「無意識に視覚障害者を下に見ていたこと」を痛感させられました。
正直言って、視覚障害者はハンデは背負っている、
こちらが施さなければならないなどと驕りに近い感情があったように思います。
しかしこの本を通じて、視覚障害者の中には、
ユーモアを持ち、健常者と同じくらい芸術を嗜む方や、
スポーツを楽しむ方もいるんだと知りました。
全く同じではないにしろ、上記のとおり、
視覚障害者はマイナスの者でも施される者でもないことは明らかです。
特に、多様性が求められるこの世の中、
今一度自分の中のステレオタイプを考え直し、
変えなくてはいけないと強く思いました。
今一度、公正な目でいろんな人と向き合うべきだと気づきを得られた本でした。
もし気になる方は、リンク貼っておきますのでどうぞ。^^
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※表紙が異なっています。特装版だったんでしょうか…。 |
今回はこれくらいにしておきます。
次回はなんの本を読もうかな…。
それではまた。^^