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ZATTOMee! ~研究者の投資blog~

米国企業・業界を”ざっと見”するブログ。初めての方でも興味を持ってもらえるよう、5年後、10年後に少しでもいい生活ができるように勉強したことや実践したことを発信中!

保存効力試験ってなんだ?

化粧品試験シリーズ第一弾。
今回は自分がずっとやってきている「保存効力試験」について、大まかに説明します。
 
 
 
どうも。
ひーくんです。
 
 
今回はタイトルにもある通り、「化粧品の保存効力試験」についての記事です。

 

 

多くの人が聞いたことのない試験だと思いますが、実は販売されている化粧品のほとんどで実施されている安全性試験です!

 

 

今回の記事ではそんな試験の大まかなイメージをつかんでもらえるような内容にしています。

 

 

 

 

保存効力試験ってそもそもなんだ?

まず、「保存効力試験(Preservation Efficacy Test; PET)」はどういうものなのか、お話したいと思います。
 
 
化粧品GMPによると、
「保存効力試験は、被験製剤に強制的に微生物を接種し、菌の消長を経時的に調べることにより製剤の保存効力を評価する試験法である」
と記載されています。
 
 
難しく書かれていますが、噛み砕いた表現にすると、
化粧品に菌を入れても増えないような処方になっているか確認する試験
となります。
 
つまり、化粧品が菌によって汚染された場合に、それ自体に菌の繁殖を抑える作用があるため、汚染による被害拡大を抑制できる、というわけです。
 
 
実際は、化粧水やシャンプー、メーキャップ化粧品などに、直接菌を混合し、混合した菌よりも数が増えないかを確認する手順になります。
 
 
 

なんで保存効力試験が必要なの?

保存効力試験試験は、化粧品の開発業務上、定常的に発生するものではありません。
そのため、化粧品メーカー内でも認知度はそれほど高くなく、処方開発に従事している人でも経験したことのある人は多くないかもしれませんし、社内でできる人がいない、ノウハウがない、なんてケースもあるかもしれません。
 
しかしこの試験は、化粧品の品質を保証するためにとても重要な試験ですので、この機会にぜひ頭の隅っこにでも入れておいてくださいね。
 
 
この試験をしておかないと、いざ消費者の下に自社製品が届き、使ってもらったものの、しばらくすると変色や異臭が発生してきてリコール(自主回収)、、、
なんて事態になりかねません。
 
 
自社の製品が性能や使用感だけでなく、安心して使ってもらえるものであると証明するための位置づけだと私は認識しています。
 
 
そのためにも、化粧品メーカーの方にはもちろんですが、化粧品を使っている一般ユーザーの方にもこんな試験があるんだ、ということを知っておいてほしいのです。
 
 
 

余談:一次汚染と二次汚染って?

化粧品の汚染には「一次汚染」と「二次汚染」があります。
  • 一次汚染:製品そのものが汚染されていること(製造者に起因するケースが多い)
  • 二次汚染:製品を使用することで、菌が増殖すること(消費者に起因するケースが多い)

 

 

このうち、今回お話しする保存効力試験は、二次汚染による被害を防ぐための試験です。そのため、試験対象とする菌は常在菌、つまりヒトの皮膚に存在し、化粧品を使う中で混入しやすい菌としているんです。(ここがポイント!)
 
 
ここを十分に理解していないと、
「過去に自社製品から検出された菌はすべて試験しないといけない!」という勘違いが生じます。
 
自社製品から微生物が単離された場合、果たしてそれは二次汚染によるものなのか、化粧品の保存効力を確認する際に、対象とすべき菌なのかは十分検討する必要があります。
 
例えばタンクの汚れが原因で生じたものであれば、それは一次汚染に起因するものであり、タンクの清掃や衛生管理などで十分対応ができるケースであり、必ずしも化粧品の保存効力によって抑制すべき菌ではありません。
(同等の安全性で担保できればよいですが、そんな簡単な話ではありませんし…。)
 
 
ただ、保存効力試験があまり企業として注力するような試験でもないので、上記のようなケースで検討検体が増えてしまっているメーカーは往々にして存在しています。
 
 
現場の負担も考えて、必要最低限のサンプルで安全性を担保していきたいものです。
 
 
 
今日はこれくらいにします。
次回は、保存効力試験の対象となる菌の特徴でも書こうかなと。
 
それではまた。